インタビューに答える横山英幸・大阪市長=9日午後、大阪市北区(甘利慈撮影)

2025年大阪・関西万博の開幕が1年後に迫った。大阪市は万全な状態で開幕を迎えるため、会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(同市此花区)周辺の環境整備を進めている。工事中や開催期間中の交通渋滞を懸念する声もあるが、交通量のシミュレーション結果を共有し、問題点を整理しながら対策を講じる。

会場の最寄り駅となる大阪メトロ夢洲駅は、当初の予定から2カ月以上前倒しして来年1月末に開業することになった。スタッフの往来も増える開幕直前に地下鉄が開通することで利便性が高まり、準備に資すると考えている。

市内在住の4~17歳には夏休み中に何度でも入場できる「夏パス」を1枚ずつ無料で配布する。

子供たちには「未来」を感じてほしい。例えば、会場で導入される多言語対応の自動翻訳システム。ドラえもんのひみつ道具「ほんやくコンニャク」の世界はもう夢物語ではない。こうした技術のほか、各国のチャレンジ精神あふれる展示や料理などの体験を通じて、世界は広く、可能性は無限大であることが伝わればと願っている。

大阪府市と経済界が出展する地元館「大阪ヘルスケアパビリオン」には企業から多くの寄付をいただき感謝している。万博を盛り上げようという経済界の強い思いを感じる。一過性のイベントに終わらせず「大阪をもう一度、元気に」という皆さんの思いをつないでいきたい。

振り返ると、海外パビリオンの建設遅れや会場建設費の増額などが先行して報じられ、前向きな情報をなかなか発信できていなかった。世界最大級の木造建築物となる大屋根(リング)の8割が完成し、海外パビリオンの発表も相次いでいる。今後は「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの万博でどんな体験ができるかをイメージできるよう具体的に発信し、機運醸成やチケット販売の加速化につなげたい。

国内外の旅行客が、万博開幕前から閉幕後にかけて会場以外のイベントや観光スポットを訪れる「拡張万博」という考え方は、経済波及効果を高める上で有効だ。日本全体で投資や消費の効果を享受できるよう、各地の自治体と連携して万博の魅力を共有したい。(聞き手 吉田智香)

万博開幕まで1年
  • 松本正義・関経連会長 文化的にもポジティブな効果を期待
  • 石毛博行・万博協会事務総長 難所越え記憶残る舞台に
  • 吉村洋文・大阪府知事 ライフサイエンスと移動革命、レガシーに

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