岸田文雄首相と野党各党の党首による初の党首討論が19日午後開かれた。立憲民主党の泉健太代表は「(衆院を)解散して国民の信を問おう」と首相に迫った。日本維新の会の馬場伸幸代表は内閣総辞職を求めた。首相はいずれも拒んだ。
首相は「先送りできない課題に取り組む。経済をはじめ、様々な課題に取り組んで結果を出していく。これに専念をしていかなければならない。それ以外のことは考えていない」と述べた。
泉氏は同日成立した改正政治資金規正法の内容が不十分だとして「大変残念だ」と批判した。首相は政策活動費の公開などに触れ「信頼をしっかりと得るために二重三重にさまざまな仕掛けをつくった」と反論した。
立民が主張した政治資金パーティーの禁止などを例に挙げ「禁止、禁止、禁止は気持ちがいいかもしれない」と言及した。「責任ある姿勢が大事だ。政治にはコストがかかる。当然のことだ」と強調した。
物価高対策、首相「年金生活者の配慮、秋に」
泉氏は経済対策について「なぜ電気・ガスの補助金を切ったのか。エネルギー補助金は続けるべきだ」と訴えた。首相は「年金生活者の配慮を秋に向けてやっていく。物価に負けない賃上げの定着を国民に約束する」と答えた。
立民の対応に首相が苦言を呈する場面もあった。「安全保障やエネルギー分野についても責任ある態度をとってもらいたい」と呼びかけ、憲法改正について「起案の議論をはじめるよう協力をお願いしたい」と要求した。
泉氏は憲法改正について「我々はずっと審議に応じている。真摯にこの議論のなかに入っていきたい」と語った。
維新・馬場氏、内閣総辞職求める 首相「結果出すことに全力」
維新の馬場氏は「岸田内閣は万策尽きている。仕事ができる首相にバトンをわたして」と呼びかけた。首相は「結果を出すことに全力を注ぐ」と応じなかった。
馬場氏は規正法改正案に衆院では賛成し、参院で反対した維新の対応について「おかしくない。永田町の前例・慣例で考えているだけ。(衆参の)二院あるから対応が変わっても当たり前だ」と説明した。
夫婦別姓「国会で議論深めるのは重要」
共産党の田村智子委員長は選択的夫婦別姓の導入について「女性の個人の尊厳を傷つけられていることが事実だという認識はあるか」と質問した。首相は「女性を中心に不利益があることは重く受け止めている。それ以外の角度からも議論を深める必要を感じている」と回答した。
夫婦別姓を巡る泉氏への答弁でも、首相はビジネス面で不都合が生じていると認めつつ「国会で議論を深めるのは重要だ」と語るにとどめた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「四面楚歌、八方ふさがり、なぜこういった事態に陥ったと思うのか」とただした。首相は「私は四面楚歌だと感じていない」と指摘した。
玉木氏は「トップが責任を取らないからだ。政治に規範を取り戻すために、職を辞すべきだ」と追及した。首相は「あらゆる課題において結論を出す。強い覚悟をもってこれからも臨んでいきたい」と言明した。
党首討論の開催は3年ぶり。
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