岸田首相は19日、国会で行われた党首討論で、立憲民主党の泉代表から、同日に成立した改正政治資金規正法に関して「国民の信を問うべきだ」として衆院の解散総選挙を行うよう迫られたのに対し、「自民党総裁として政治の信頼の問題で責任を果たさなければならないと、1月から私自身、先頭に立って取り組みを進めてきた。この法案で終わったというようなことは考えていない」と述べた。

この記事の画像(24枚)

その上で「政治家自身が特権意識がなかったか、あるいはおごりがなかったといった政治姿勢も信頼回復に向けて引き続き努力をしていかなければならない。一つ一つ先送りできない課題に取り組むということ。経済をはじめ、さまざまな課題に取り組んでいき、結果を出していく。これに専念をしていかなければならない。それ以外のことは考えていない。それが解散を迫られた質問に対する答えだ」と述べ、解散総選挙について否定した。

泉代表は討論の冒頭、選択的夫婦別姓の実現について岸田首相に踏み込んだ答弁を行うよう求めたが、岸田首相は、世論の賛否両論に触れた上で、国会において議論を深めるべきだとの従来の立場を示すにとどめた。

泉代表は続いて、改正政治資金規正法の成立について」「大変残念。悔しいと言ってもいいぐらいだ」と述べた上で、「次の総選挙の時にも各候補者や、現職の議員たちに政策活動費を執行するのか」と尋ねた。岸田首相は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で作ったこの制度に基づいて政策活動費を使っていく。今回のこの結論は重要な結論であり、党としてもその結論を守っていく」と答えた。

これに対し泉氏は「全然答えていない。あなたたちが抵抗勢力だ」と批判した上で、「結局自民党は表金ではやれないと言っている。裏のお金を作って、結局それを使って選挙や政治活動をしようとしている政党だと。他の政党はそんなことやらない。明確に姿勢が違うことが分かった」と指摘した。

岸田首相はこれに反撃し、「御党との議論において、企業団体献金は禁止、政治資金パーティーは禁止、そして政策活動費も禁止。すべて禁止とされていた。私は決して御党がこうやって禁止を言いながら、実際パーティーを開いているとかいったことをあげつらう場ではないと思っているが、この禁止禁止禁止というのは、大変気持ちがいいかもしれない、わかりやすいかもしれない。しかし現実的な政治の中で政治資金というものは、民主主義を支える大変重要な要素だ。真剣に現実的に考えるといった責任ある姿勢が大事ではないか」と反論した。

また泉氏は、物価上昇を差し引いた実質賃金が低下していることを指摘し、家計を支えるための電気・ガス代の補助金を継続するよう求めたが、岸田首相は「物価高に負けない所得・賃上げを定着させる」と強調し、補助金継続については明言を避けた。

一方、岸田首相は泉氏に対し立憲民主党は政策の具体案がないと批判したほか、国会の憲法審査会で憲法改正の条文策定の議論促進に協力するよう求めたが、泉代表は「我々はずっと審議に応じ議論を真摯にやっている。論点があるのにすっ飛ばして何をするというのか」と述べ、条文策定には慎重姿勢を示した。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(24枚)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。