岸田文雄首相は21日、通常国会の事実上の閉幕に合わせて首相官邸で記者会見し、物価高に対応するため、電気・ガス料金の負担を軽減する補助金を8月から再開すると表明した。今秋の経済対策策定を目指す方針も明らかにした。

首相は「デフレ型経済から脱却し、新たな成長型経済に移行できるかどうか、まさに今正念場にある」と指摘。「移行の兆しは明確になっている。大きな流れとし、着実なものとするため、重層的に政策を展開していく」と強調した。

電気・ガスの補助期間は8月から3カ月間。補助金は5月使用分でいったん終了したが、料金の高止まりを踏まえ、冷房需要が増す夏場を中心に「酷暑乗り切り支援」と銘打って国民生活を支援する。詳細は与党と詰める。

ガソリン代の抑制に向け、石油元売り会社に支給している補助金は年末まで継続する。首相は「ガソリンや電気・ガスへの補助金は脱炭素の流れに逆行する。いつまでも続けるべきではないが、最も即効性のある補助を今回に限って講じる」と説明した。

首相はまた、秋にまとめる経済対策に関し「年金世帯や低所得者、地方経済に焦点を絞って思い切った検討をする」と語った。同時に、年金受給世帯や低所得者世帯に対する追加の給付金などを検討する方針を明らかにした。2024年度補正予算案を編成する案も浮上している。

首相は改正政治資金規正法で検討事項と位置付けられた政策活動費の領収書公開や第三者機関の設置の詳細について「早急に具体化の協議を進めていく」と述べた。総裁任期中の実現を掲げる憲法改正に関しては「改正を考える機会を国民に提起することは政治の責任だ」と語ったものの、具体策には踏み込まなかった。

記者会見する岸田文雄首相=21日午後、首相官邸

記者会見する岸田文雄首相=21日午後、首相官邸

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