昨年12月と今年5月に沖縄県で発生した米兵による性的暴行事件を巡り、林芳正官房長官は2日の記者会見で、重大事件の情報共有のあり方について政府内で検討を進める意向を示した。「在日米軍にかかる事件事故が地元の方々に不安を与えないよう、どのようなことができるか関係省庁において検討される」と述べた。
両事件を巡っては、捜査当局から情報提供を受けた外務省が、起訴当日やその前段階でそれぞれ米側に再発防止を申し入れた一方、県や防衛省には伝達していなかった。
県警や那覇地検が事件を公表していなかったことを踏まえたとしているが、玉城デニー知事は県民への注意喚起に影響した可能性もあるとして、外務省の対応を批判している。
日米両政府は1997年、公共の安全に影響を及ぼす可能性のある事件が起きた場合の通報基準について合意。米側から連絡を受けた外務省が防衛省に伝え、沖縄県や県内市町村に連絡することになっている。
林氏は会見で、公表の基準について、犯罪の重大性▽認知時点において公になっていなかったこと▽性犯罪であったこと▽公表することで被害者の名誉やプライバシーに甚大な影響を与えうること――などを考慮し、可否を判断すると説明。その上で、「関係機関は捜査当局における判断も踏まえ、県を含む関係者に対する情報提供の必要性および相当性を判断した」と述べ、今回の対応に問題はなかったとの認識も示した。【鈴木悟】
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