児童手当の拡充などを柱とし、財源の1つとして公的医療保険に上乗せして徴収する子ども子育て支援金を創設する少子化対策法案が、19日の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。
法案に盛り込まれた児童手当の拡充では、現在0歳から中学生までの支給対象を、高校生年代まで延長し、第3子以降は3万円に倍増、所得制限も撤廃される。2024年10月の支給分から適用予定。低所得のひとり親世帯向けの児童扶養手当も、子どもが3人以上いる多子世帯の加算を増やす。この制度により、子どもが生まれてから高校生までの給付額は、1人平均146万円増える見込み。
また、「共働き・共育て」を推進するため、育休給付を25年4月から両親が共に14日以上の育休を取った場合、最大28日間、実質10割に引き上げる。
時短勤務の新たな給付として、2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をしている人に、賃金に上乗せして賃金の1割相当の給付金を支給する。
親が働いているかどうかに関わらず、子子どもを保育所などに月一定時間預けられる「こども誰でも通園制度」を創設し、26年度から全国の自治体で実施する。
これらの政策を実施する財源として、歳出削減での捻出などに加え、公的医療保険に上乗せする「子ども・子育て支援金」を創設する。制度は26年度から始まり、徴収総額を初年度は6000億円、制度が確立する28年度には1兆円へ順次引き上げる。支援金の負担額は、加入者1人あたりの平均で28年度に450円と試算された。
被保険者1人あたりの家族分も含めた被用者保険での平均負担額は、中小企業の「協会けんぽ」で700円、大企業の「健保組合」は850円、公務員らの「共済組合」は950円。いずれも所得によって増減し、年収600万円超で月1000円以上となると試算された。
政府は、歳出改革と賃上げにより、所得と比較した社会保障負担率は上昇しないとして実質的な追加負担は生じないと説明しているが、野党は実質的な増税だと批判している。
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