麻生派の研修会で講演をする麻生太郎副総裁(27日、横浜市)

自民党麻生派(志公会)は27日、横浜市内のホテルで派閥研修会を開いた。会長の麻生太郎副総裁は講演で9月の総裁選に立候補を表明した河野太郎デジタル相を支援すると表明した。同時に他候補の支援も容認する考えも示した。

麻生派に所属する河野氏について「同じ釜の飯を食べて育ってきた同志としてしっかり応援していきたい」と述べた。「志公会以外から多くの支援者を集める努力をしてもらわないといけない」と支持の拡大を呼びかけた。

「一致結束(箱)弁当みたいに縛り上げるつもりはない」とも強調した。派閥内では河野氏以外を支援する動きもあり、総裁選に向けた活動に一定の幅をもたせた。「終わったあとはまた1つになれればとの気持ちを強く持っている」と付言した。

麻生派は54人が所属する。政治資金問題を受けて他の派閥が相次いで解散を決める中で、唯一存続する方針を決めている。

河野氏は26日の記者会見で総裁選への立候補を表明した。政策面ではこだわってきた「脱原発」の方針を修正した。生成AI(人工知能)やデータセンター稼働に伴う電力需要の急増に対応するため「(原子力発電所の)リプレース(建て替え)も選択肢としてある」と語った。

麻生氏は「世界における日本の地位、リーダーというものを意識して話をしていたのも良かった。主張もわかりやすかった」と河野氏の主張を評価した。

新総裁に関して「自分がしたい首相像、自分がしたい国家像を堂々と語ってもらいたい」と求めた。「岸田文雄首相の後を継いで世界の中で認められつつある日本という国のあり方を語ってもらえることを心から期待する」と説いた。

麻生派内には総裁選を巡って小林鷹之前経済安全保障相や上川陽子外相を推す議員もいる。小林氏が出馬を表明した19日の記者会見には3人の麻生派議員が参加した。甘利明前幹事長も支援する見通しだ。上川氏にも女性議員を中心に支持する動きがある。

今回の総裁選は候補者に10人超の名前が浮上し本命がみえない混戦となっている。どの候補も1回目の投票で過半数の票を獲得できず決選投票になるとの見方がある。麻生派が決選投票で誰を支持するかは新総裁のもとでの同派の影響力を左右する。

麻生派は前回の21年総裁選で岸田文雄首相への支援を軸とし、河野氏や高市早苗経済安保相への支持も認めた。選挙に勝利した岸田氏は、麻生氏を副総裁に、甘利氏を幹事長にそれぞれ起用した。

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