兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は30日午後、パワハラの事実関係を確認するため野北浩三・東播磨県民局長を公開で証人尋問した。斎藤氏の最側近だった片山安孝・元副知事(7月に辞職)が告発内容の一部について、野北氏に口止めをしていた疑いが明らかになった。
県西播磨県民局長だった男性(60)が3月に配布した告発文書には、斎藤氏が県内の施設に出張した際、20メートルほど手前で車を降りて歩かされたことに立腹し、職員らを怒鳴ったとの内容があった。
野北氏は知事に同行していた人物で、「かなり激しい調子で叱責された」と証言した。さらに告発文書の配布後、片山氏から呼び出され、「元局長に何か話したかと言われた。あまりしゃべりすぎるなと言われたように記憶している」と語った。
野北氏は片山氏とのやり取りについて「誰に非があるか分からない状況だったので、『あまりこれ以上この件について話すのはやめろ』と言われた」と説明した。
一連の問題は元局長が、斎藤氏のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は調査結果を待たずに内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。
斎藤氏は一貫して告発内容を否定しているが、百条委が実施した県職員アンケートの中間報告では約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答した。
23日に実施された県職員6人の証人尋問でも複数の職員が知事から厳しく叱責されたり、その場面を目撃したりしたと証言した。
「業務上の指導の範囲内だった」とした定例記者会見での斎藤氏の発言について、「開き直っているような会見で腹立たしい」と述べた職員もいた。【幸長由子、木山友里亜】
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