約1600万円の予算をかけて行われた大分県津久見市役所の移転先を問う住民投票。
市民が選択したのは新しい市長の提案では無く、当初の計画通り、港の埋め立て地に建設する案でした。
各方面の反応などを取材しました。
◆石川正史・津久見市長
「住民投票の結果、市民の皆さんが選んだのは埋め立て地案でした」
21日、津久見市で行われた老朽化した市役所の移転先を問う住民投票。
市民に問われたのは、すでに計画されていた「津久見港の埋め立て地に建設する案」か、新たに就任した石川市長が提案した「閉校した第二中学校などを活用する案」どちらにすべきかということです。
開票の結果、「埋め立て地案」が5770票で賛成多数に、「中学校活用案」の倍以上の票数となりました。
また、投票率は63.13%で成立要件の半数を超えました。
◆石川正史・津久見市長
「これまで市民の間でくすぶっていた案件の方向性が出たというところが大きいと思う。私が提案した第二中学校の案が多くの人に賛同してもらえなかったところは残念と思っている」
一方、もともとの「埋め立て地案」を支持してきた市議会は…。
◆津久見市議会 黒木章三議長
「私たちは以前から市長に対して埋め立て地の方が最適地と進言してきたつもりだが理解してもらえなかったことが今回の住民投票に繋がった。市長には速やかに進めてもらいたい」
◆TOS鹿島佑里記者
「港のそばに位置するこちらが賛成多数となった新庁舎の建設予定地。高い建物が少ない市の中心部で新庁舎が津波避難ビルとしての役割も担う予定」
埋め立て地案では利便性が高い一方、津波のリスクが争点となっていました。
計画では、想定される浸水の深さよりも高い2階以上に庁舎の機能を置く予定です。
今回の住民投票、市民からはさまざまな声聞かれました。
◆津久見市民
「(埋め立て地案は)いいんじゃないかと思うにぎわいのために活性化するのでは」
「どっちでもいいという感じがするけど反対。市役所を作ること自体がもったいない」
「海が近いからちょっと危ないかなと不安はあったが、埋め立て地案の方は地震対策に沿って作るだろうからいいんじゃないか」
市は住民投票の結果を尊重し、港の埋め立て地への建設を進める方針ですが懸念されるのがスケジュールです。
この計画では、総事業費44億円のうち25億円を国の補助金で賄う予定です。
ただ補助金を活用するには、事業期間が終わる来年度末までに完成しなければいけません。
埋め立て地に建設する場合工期は20か月、そのため遅くともことしの8月には着工する必要があります。ただ去年は資材の高騰で入札不調に終わっていて、今後の入札についても先行きは不透明です。石川市長は速やかに予算案を市議会に提出したいとしています。
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