自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への出馬を6日表明した小泉進次郎元環境相(43)は記者会見で「自民党が真に変わるには改革を唱えるリーダーではなく、改革を圧倒的に加速できるリーダーを選ぶことだ」と述べ、「改革者」としての政治家像をアピールした。小泉氏の父純一郎元首相が進めた「小泉改革」を想起させるような言葉も使われた。
「労働市場改革」「政治改革」「国会改革」。約1時間にわたった会見のなかで、小泉氏は56回も「改革」という言葉を繰り返した。
小泉氏は首相に就任した場合の公約として「1年以内に実現する改革」と「中長期を見据えた構造改革」に分けて説明。1年以内の改革として①政治改革②聖域なき規制改革③人生の選択肢の拡大――の三つの改革メニューを列挙した。
そのうち「聖域なき規制改革」は、純一郎氏が掲げた「聖域なき構造改革」と重なる。純一郎氏はその旗印の下に、公共事業の削減や不良債権処理などを推し進めたが、市場原理主義に基づく改革が格差拡大を招いたとの指摘もある。
この日、「聖域なき規制改革」を打ち出した小泉氏は「賃上げ、人手不足、正規・非正規格差を同時に解決するため、労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す」と表明した。現行制度上、整理解雇には人員削減の必要性や、配置転換などで解雇を避ける努力などの要件を満たす必要がある。
小泉氏は大企業にリスキリング(学び直し)や再就職支援を義務づけることで「自分らしく働くことのできない職場にとどまり続けるより、前向きに成長分野へ移ることのできる制度を構想したい」と訴えたが、解雇規制の緩和は労働者の生活を不安定にするとの反発も予想される。
政治資金パーティー裏金事件に関係した議員については、次期衆院選で公認するかどうかを「厳正に判断」する姿勢を示した。説明責任の果たし方や再発防止に向けた取り組み、地元の意見を踏まえて新執行部が判断するとし、「選挙で選ばれた新たなメンバーで自民党を作り直す」と強調した。
ただ、自民の調査で収支報告書の不記載などが発覚した議員は80人を超え、衆参の政治倫理審査会に出席したのはごく一部に過ぎない。小泉氏が言及した判断基準にはあいまいさも残り、今後、候補同士の討論会などで議論になる可能性がある。
会見ではこの他、「三位一体」「既得権益」などと小泉改革を連想させる言葉が発せられた。小泉氏はその後、出演したフジテレビ番組で純一郎氏を意識したか問われ、「自然に出てきた」と答えた。【森口沙織、竹内望】
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