兵庫県・斎藤知事の証人尋問が行われた兵庫県庁から、取材した鈴村記者が報告する。
【動画】【記者解説】告発「公益通報ではない」斎藤知事 副知事「第三者調査進言」と証言も知事否定 今後の判断は
関西テレビ神戸支局 鈴村菜央記者:「6日は重要なテーマである、告発が『公益通報に当たるかどうか』について、片山前副知事や斎藤知事たちの尋問が進められました」 公益通報者保護法では、組織や企業の中で不正を発見し、それを通報した人物=「公益通報者」に対し、通報したことを理由に、解雇や降格など不利益な取り扱いを禁止することが定められています。つまり通報者を守る制度です。
関西テレビ神戸支局 鈴村菜央記者:県が告発者を探し出し、処分するといった不利益な扱いをしたことに、違法性があるのではないかとされる問題について、告発文にも名前が挙がっていたキーマンの片山前副知事、斎藤知事が何を話すのかが注目されました。 そして証人尋問では、『告発者探しを知事が指示していたのか』、告発内容について、『第三者委員会で調査すべき』という進言を、知事がどう認識していたのかということについて指摘がありました。
■知事は『公益通報ではない』と委員の質問にはっきりと即答
この記事の画像(3枚)鈴村菜央記者:ポイントとしては、知事が告発者探しの正当性を訴えたということです。 まず、この告発者探しについて、知事が指示したということについては認めました。 その理由として、『誹謗中傷性が高い文書を放置しておくと、県庁・県民にとっても良くない』と話しました。 一方で、告発者探しが良くなかったなどの発言はありませんでした。その背景には 公益通報として成立する要件に当たる『真実相当性』、つまり告発文書に具体的な根拠や理由がない。そのため、『公益通報ではない』と委員の質問にはっきりと即答していたのが印象的でした。
■知事、前副知事ともに、告発者を守るという考えはなかったのではないか
鈴村菜央記者:また、前副知事も、調査の中で『クーデターを起こす』『革命』というくだりを見つけたため、 不正な目的ではないかという目で対応していたと話しました。 改めて感じられたのは、2人とも公益通報の前提、つまり『告発者を守る』という考えはなかったのではないかということです。
■知事が「記憶にない」と繰り返し、会場がざわめく場面も
鈴村菜央記者:もう1つ気になったのは、証言の矛盾です。斎藤知事と片山前副知事の証人尋問で出た証言の矛盾がいくつもありました。
<片山前副知事>
・告発文書について「第三者による調査も」と前副知事とは別の幹部が進言
・「『第三者機関(の調査)は時間がかかるよね』と(知事が)否定された」
<知事>
・「提案を受けた記憶はない」と否定
鈴村菜央記者:知事は6日の尋問で、『記憶にない』を繰り返し、会場がざわめく場面が何度もありました。今後この証言の違いを百条委員会がどう判断していくのか注目されます。
強い調査権を持つ百条委員会で、うその証言をした場合は偽証罪に問われる。
関西テレビ 神崎博報道デスク:刑事裁判や刑事手続きではないので、複数の証人から矛盾点を洗い出して、そこを突きつけてどちらが真実なのか判断するということは、なかなかやりにくいのです。 現状のように『言った』か『言わなかった』かという双方の立場が違うと、水掛け論になってしまうというところがあります。
鈴村菜央記者:元県幹部による告発文書は公益通報に当たるのか、そしてその調査は正当なものだったといえるのかという事態の根本ともいえる問題です。 専門家から『公益通報の要件は満たしている、知事らの振る舞いは法に違反する』とまで指摘がある中で、今後百条委員会は、また斎藤知事はどのような判断を下していくのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月6日放送)
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