次々と新たな問題点が明らかになる斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑。
県政の混乱に議員や政党など各所から批判が強まっていますが、最も影響を受ける県民は何を感じているのでしょうか。
県内各地で総力取材しました。
■すべての会派が辞職を求められる 知事は「励ましの声をもらっている」と続投に意欲
ことし3月、兵庫県の元西播磨県民局長が斎藤知事のパワハラなどを告発した問題。
選挙では応援演説に駆け付けたこの人も…。
【日本維新の会 吉村洋文共同代表】「土曜日に(斎藤知事と)話をしました。職員がいる中で、予算権・人事権を持っている知事が物を投げる、机をたたく行為はやってはいけない行為だと思う。知事を辞職して、県民の皆さんに問うべきではないかと」
議会のすべての会派が辞職を求める異常事態ですが、当の本人は…
【兵庫県 斎藤元彦知事】「私は3年しかまだ知事はしていません。政治家としてまだまだこれから。力が足りないところもあるかもしれないですけど、それでも3年前に選挙のご負託を得て知事にならせていただきました。自分がどういうふうに道を進むべきかというところは、自分が決めていくということが大事だと思っています」
そして、10日朝も…
【兵庫県 斎藤元彦知事】「色んな方から声をかけられました。激励の声掛けですね『頑張れ』と。『色んな声があると思うけど、若いんだし、しっかり頑張ってほしい』という声が、私には直接来ていますね」
(Q.批判の声は?)
【兵庫県 斎藤元彦知事】「もちろん県政への投書では拝見しているというのは知っていますが、県民のみなさんから、直接ご批判を受けるということはあまりない」
「政治家としてまだまだこれから」、「励ましの声をもらっている」と続投に意欲を示し続けています。
■兵庫県各地で県民のリアルな「辞職」を望む声
では、実際、長引く混乱で最も影響を受ける「兵庫県民」は、斎藤知事の何に怒っているのか?続投・辞職どちらを望むのでしょうか。
関西テレビのカメラが県内各地でリアルな声を総力取材しました。
【尼崎市】
(Q.斎藤知事はやめるべき?続けるべき?)
【女性グループ】「辞めるべき。辞めさしてください」
【女性グループ】「辞めるべき」
【女性グループ】「そんなちっさい声であかん。辞めるべき。ほんま辞めるべき。テレビ見るだけでも腹立つ」
【尼崎市】
【男性】「ここまできたら、やったらいい、とことんまでいってほしい。謝ることは謝る。潔くってことやね」
【姫路市】
【女性2人組】「どないかしてクビにしてほしいわ」
【女性2人組】「辞め言うても、辞めへんやん」
【女性2人組】「自分が辞める言わな、辞めさせられへんねや。それが困る」
県民から次々と聞かれる「辞職」を望む声。
その中でも特に「問題だ」との意見が多かったのが。
【姫路市】
【男性】「パワハラ!権力利用して、そういうことすること自体、悪い」
ことの発端となった、元県民局長による斎藤知事のパワハラ疑惑などの告発。
斎藤知事本人も、真偽を調べる百条委員会の中で、「机をたたいた」、「付箋を投げつけた」などの行為は認めています。
【豊岡市】
【男性】「あれはあかんで、あのパワハラは。一番最初に「嘘八百」だの、「公務員失格」だの、あんたが公務員失格やろ?あんなこと言ったら終わりです」
ただ県は告発文書をめぐり、「核心的な部分が事実でない」として元県民局長を懲戒処分。その後、元局長は、ことし7月に死亡しているのが見つかりました。
【姫路市】
【女性】「処分の仕方があまりにも早かった。これはどうなんやろうと、最初から思っていた」
【姫路市】
【女性】「人が亡くなるぐらい、つらかったいうことが、あまり感じとれへん。全然、心がないような、失礼な話だけど、そう感じてしまう」
“おねだり疑惑”の1つ。知事が1人で持ち帰ったというカニの産地では。
【香美町】
(Q.知事が独り占めするくらい香住ガニっておいしい?)
【女性】「おいしいですよ。できれば皆さんで分けてほしかった」
【男性】「もらった限りは、地場産業発展させるために、PRしてくださいよ」
■県民たちは「恥ずかしい」
さらに、取材を進めると聞こえてきたのは、今の兵庫県民の心情を表すシンプルなこの言葉。
【尼崎市】
【女性】「恥ずかしいです。県民として恥ずかしい」
【女性】「給料にしがみついてんちゃうん。1500万円言うた?それにしがみついてんちゃうん」
【神戸市】
【女性】「ちょっと恥かしいですよね。これだけ騒がれるというのは。マスコミもやりすぎなのかもしれないけど」
【豊岡市】
【女性】「兵庫県の恥さらし!相手方が『どうぞお持ち帰りください』と言ったって、断るのが本当と違います?」
【豊岡市】
【男性】「ダサい人やなあとしか思わない。ダサい人、弱い人、みたいな感じですかね」
問題発覚後に知事の立場をかたくなに守ろうとする姿勢や、誠実に謝罪をしない姿に、「恥かしい」と感じるようです。
10日、直接話を聞いた117人中、104人、およそ89パーセントの人が辞職を求めているという現実も。
「励ましを受けている」という10日朝の斎藤知事の言葉とは真逆の、非常に厳しい結果となりました。
■「維新という影響力を手に入れたために起きた問題」「議会の働きが問われている」と専門家
斎藤知事のパワハラが疑われる行為の背景にあるのは何なのか…。
地方自治に詳しい専門家は、「斎藤知事を取り巻く事情が関係しているのでは」と指摘します。
【地方自治に詳しい 大正大学 江藤俊昭教授】「政治的な要素として、(関西では)維新はかなり影響力がありますから、これをバックにしていた。通常(パワハラは)起きないと思うんですけれども、それがパーソナリティ(性格)の問題として、こういう問題を引き起こしたと思う」
その上で、「辞職すべきだ」という県民の声と、続投する意向の知事との意識の隔たりについては。
【地方自治に詳しい 大正大学 江藤俊昭教授】「県民の意識を踏まえて知事が動かないとすれば、議会がしっかりと明らかにすると同時に、責任を取らせるという議会が問われているのではないか。百条(委員会)でしっかり調べるとともに、不信任決議という地方自治法にのっとった形での、法的な権限をしっかりと議会の方が果たすという役割だと思いますね」
きょうの取材で見えた県民の声に斎藤知事はどう向き合うのでしょうか。
今後の展開が注目されます。
■「不信任」議決されたら「辞職」か「県議会解散」
斎藤知事は常々、県民の負託を受けていると話すのですが、取材では数多くの批判の声があがり、9割近い方が辞職を求めていました。
斎藤知事の今後について、関西テレビの神崎博報道デスクは次のように解説します。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「知事に対して、県議会から辞職を求められましたが、知事は応じるつもりがないということなので、来週から始まる9月議会で、不信任決議をするという方向になりそうなんです。
そこで不信任が決まれば、知事には2つの選択肢があります。
1つは辞職する。もう1つは、県議会を解散するという選択肢があります。実はこれまで知事が不信任の議決をされたことが過去に4例あるのですが、その4例とも知事が議会を解散せずに辞職しました。知事が不信任決議を突きつけられて、議会を解散したという事例はないんですよね。そこを踏まえた上で、知事がどう判断するかです。
もしも知事が議会を解散すると言えば、兵庫県議会は去年選挙をしたばかりで、任期が残り3年あるんですが、そこで解散してしまうと選挙の費用だけで大体16億円ぐらいかかるというふうに言われています」
■責任は県議会議員にも 議会解散は
「16億円」という費用をどう捉えるか、という視点もありますが、県政の停滞が続いているという状況、専門家もVTRで指摘していたように、ここまである意味、『やりたいようにやらせてしまった』という議会にも、責任があるのではないかという視点もあります。
この点について番組コメンテーターで大阪大学大学院の安田洋祐教授はこう指摘しました。
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「県民一人一人の代表、県議会における代表っていうのは知事ではなくて、議員の一人一人なんですよね。
それで行政のトップである知事にある意味では、ガバナンスをきかせる、暴走を食い止めるために、県議会があるわけですし、議員が責任を全うしなかったから、いま県政が停滞していると。ちょっと厳しい見方になるかもしれないですけれども、そのように見ることもできます。
そう考えると仮にこの不信任決議が通って、知事が「解散だ」って、「前例のない解散だ」ってことになった場合も、知事だけではなくて、兵庫県議員の皆さんも出直し選挙っていうのは、考え方としてはあるんじゃないかなと思いますね」
今週の12日、木曜日には維新以外の会派も辞職を要求する見込みです。
(関西テレビ newsランナー 2024年9月10日放送)
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