自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相(43)は13日の日本テレビ番組で、「聖域なき規制改革」の柱の一つに掲げる解雇規制の見直しについて、「緩和でも自由化でもない」と明言した。「大企業側が解雇しやすくなる」との懸念が各候補から相次ぐ中で、釈明に追われた格好だ。
小泉氏は番組で「大企業の解雇をしやすくするのか」と聞かれると、「違います」と断言。正規雇用と非正規雇用の格差解消に向けて「非正規の方が正規で雇用されやすい環境を作っていく」と述べ、「大企業がリスキリング(学び直し)や再就職の支援を、今まで以上にしっかり働く方にやるよう義務付けたい」と繰り返した。
一方、現行の判例に基づく「整理解雇の4要件」をどう見直していくかは言及しなかった。
小泉氏は6日の出馬会見で、首相として1年以内に断行する改革メニューの一つとして解雇規制の見直しを掲げた。会見では「現行の解雇規制は大企業に解雇を容易に許さず、企業の中での配置転換を促進してきた」と指摘。「4要件が満たされないと人員整理が認められにくい状況を変えていく」と説明し、企業側に配置転換や希望退職の募集などを求める要件の一つ「解雇回避の努力」の見直しに意欲を示していた。
共演した石破茂元幹事長(67)は「何がどう変わるかが明確ではないと議論が進まない」と小泉氏をけん制。茂木敏充幹事長(68)も「(解雇規制の緩和であれば)デメリットの方が大きい」と批判した。
番組に先立って行われた党本部での共同記者会見では、高市早苗経済安全保障担当相(63)が「整理解雇は、四つの要件が確立されており、非常に短い期間の議論によって立法し、判例を覆すのは容易なことではない」と指摘。小林鷹之前経済安保担当相(49)は「労働市場の流動性を高めていくことは大切なことだが、安易な解雇規制の緩和は、働く人を不安にさせかねない」と懸念を示した。【池田直、加藤明子】
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