兵庫県の斎藤元彦知事が、パワハラなどの疑いなどで告発された問題。
兵庫県議会86人の全議員が知事に対して不信任決議案を提出するということで、採決がこのあと行われ、可決される見通しです。
19日午後4時半現在、不信任案についての各会派の討論が行われているという状況です。
このあと採決が行われ可決された場合、「辞職」、「失職」、「解散」、「解散と辞職」の4つのケースがが考えられます。
現代政治分析に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授に話を聞きます。
──過去に議会を解散したケースはある?
過去には不信任が可決されても議会を解散したケースは一度もありません。
──失職や辞職になった場合、第三者委員会や百条委員会の行方はどうなる?続ける?それとも打ち切りになる?
議会が解散されると、百条委員会も議会で作っているので、百条委員会はなくなる可能性は高いです。
──散しない場合は?
解散しない場合は、百条委員会はそのまま(元知事に対して)審議を続けていく。
──そのあと第三者委員会が立ち上がる可能性もある?
第三者委員会も立ち上がっていて、それは、これとは関係なく続いていくことになっていきます。
19日朝、今後の対応について斎藤知事は「改革をこれからもやっていくという思いを持っている。不信任決議案の可決後の対応については、様々な選択肢をしっかり考えなければならない」と発言しています。
──この「様々な選択肢」についてどのように感じている?
先ほど出ていた4つの選択肢のことをおそらく言っているんだろうと思います。
この4つの選択肢ですが、当面考えられるのは、自分が辞めるか、それとも議会を解散するか。
10日間のうちに決めなければいけないのですが、何もないと失職ということになっていきます。
非常に重い決断になってくるのは、例えば、議会を解散して自分も辞めた場合、ダブル選挙になってくる。
ただいろいろ問題があり、そもそも「辞職」「失職」だと、いずれにしても自分が悪かったということで辞めていくということになりますし、議会を「解散」するとしても、やたらめったら時間がかかるんです。県議選をやって、また知事選をやらなければいけない。
「解散と辞職」で両方辞めると、民意で選ばれた「知事」も「議会」もなくなってしまう。
民主主義はどこへ?ということになってしまうんですね。
──白鳥氏の想像するところでは、どの辺りになりそうか?
おそらく、「辞職」「失職」か、さもなければ「議会の解散」ということで、場合によっては県議選で知事を支持してくれる人が半分当選できればということになっていく。
──「辞職」と「失職」というのも意味が違う?
自分で辞める場合は「辞職」で、10日間何も決定をしないというと自動的に「失職」するということになります。
──「失職」もしくは「辞職」したあと再選を目指すという選択肢も加えることができると思うが、再選もしくは続投を目指すと思うか?
「辞職」の場合は自分が責任を感じて辞めてますので、それだと出られない。
「失職」だと出てくると思います。
「議会の解散」というのも、自分は悪くないので、議会が悪いということですから、当然、この場合は自分が辞める必要は、ここではないので。
──「解散」というのは続投を目指して、民意をもって議会のメンバーを入れ替えて不信任決議案が2回目は可決されないという狙い?
結局、これをやっても出るかどうかという問題もあります。
いずれにしても知事選か議会選挙があり、選挙には多額の税金もかかります。
県政は停滞するという中で、知事選の場合は約18億円、県議選の場合は約16億円、足して単純計算で34億円かかるといわれています。
──この辺りはどうか?
知事の資格が問われていますから、知事選だけやれば18億円で済みますが、県議選をやるというのはあまり理由がよく分からないです。
県議を選ぶ民意と知事を選ぶ民意は違いまして、自分が果たして的確かどうかということを尋ねればいいのに、余計に16億円もかかって、結局、単純計算で34億円かかると。
なかなかコストカットということを言ってきた知事としては、ロジックが成り立たないんじゃないかと。
ただ、これを選ぶ可能性もゼロではない。
県政が停滞するという話もありましたが、最大で100日間県政が停滞する可能性もあるという現状になっているということです。
いずれにしても4つの可能性がある中で、このあと午後5時ごろから不信任案についての各会派の討論が行われ、そのあと、不信任案の採決が行われるということです。
──注目はどういったところになる?
今日、例えば知事がすぐに辞めるということを決めるのか、それとも議会を解散するのか、それはおそらく早期に決まると思うんですね。
そうじゃなければ10日間そのまま失職を狙うと。
今日の動きというのは非常に注目されると思います。
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