立憲民主党の新代表に選出され記者会見で質問を受ける野田佳彦氏=東京都港区で2024年9月23日午後4時45分、宮武祐希撮影

 立憲民主党の野田佳彦新代表は23日の記者会見で「有権者に選択肢を与え、自民党にペナルティーを与えられる環境を作る」と述べ、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の渦中にある安倍派、二階派の「大物議員」の選挙区に対立候補を擁立する方針を強調した。会見の詳報は次の通り。【安部志帆子】

 ――代表選を経てどう党内融和を図っていくか。

 ◆(立候補した)4人には政策上の違いもあったが、17日間議論し、なぜそう考えるようになったかの背景を互いに理解できた。新たに学んだ観点なども生かしながら、これからの政策に生かしていきたい。

 ――他の野党とどう向き合っていくか。

立憲民主党の新代表に選出され、立ち上がって礼をする野田佳彦氏=東京都港区で2024年9月23日午後3時40分、渡部直樹撮影

 ◆明日は骨格人事などに時間を要するが、それ以降は野党各党にあいさつ回りをし、それをスタートに誠意ある対話を続けていきたい。結果どうなるか分からないが、まずは対話を、誠意を持って行っていく。

 ――消費税減税を求める党内外の声が多い中、給付付き税額控除をどう実現するのか。

 ◆消費税についていろんな意見があったと思うが、給付付き税額控除は泉(健太)代表の下の「次の内閣」で昨年閣議決定した。一つの到達点だと思う。その到達点を私は(代表選で)公約として申し上げた。食料品の(税率)ゼロといった新しい話も(他の候補者の主張で)出てきた。新たな課題だ。ただ当面、物価高に賃金が追いつかない状況で、急いで対応するには給付が大事。その延長線上に給付付き税額控除がある。財源論を含め、制度設計の議論をやっていきたい。

 ――次期衆院選の議席目標は。

 ◆自公過半数割れに追い込む。そのために野党の議席を最大化するのが現実的な戦略だ。

 ――「決められない政治」と言われた旧民主党政権時代と同じてつを踏まないために、どうするのか。

立憲民主党の新代表に選出され、泉健太氏(左)と共に気勢を上げる野田佳彦氏(右)=東京都港区で2024年9月23日午後3時56分、渡部直樹撮影

 ◆政権を手放してから12年たった。それぞれがそれぞれの立場で過去の反省がある。一度決めたことに反したことをするとかいう政治文化は随分消えてきたと思う。その意味では成長しているのではないか。

 ――候補者調整についての考え方は。

 ◆(他党との候補者調整交渉で)うちだけ候補者を認めてくださいといったら話し合いはできない。ただ、基本的には、我々が擁立した候補者の方が支持率が高いなどということもある。基本的には、自分たちの候補者はしっかり当選できるよう後押ししていく。

 ――野田氏の安全保障政策などは自民と似通っている。自民との違いをどう打ち出していくか。

 ◆選択的夫婦別姓は明確に違う。(賛成しているのは)自民党の一部だけだ。カネをかけ過ぎる政治には強く反対しているし、世襲制限も言っている。これ、全然自民と違うと思う。

立憲民主党の新代表に選出された野田佳彦元首相(右から2人目)=東京都港区で2024年9月23日午後3時48分、宮武祐希撮影

 ――農業政策についてどう考えるか。

 ◆農業者の減少に対する政府の対策が全くないので、令和版の国立農業公社をつくろうと代表選で提案した。それを「次の内閣」で議論いただき、マニフェストの中に位置付けていただければ大変ありがたい。(次期衆院選で)勝ったとしてもねじれ国会。(ねじれ国会で法案を通せなくても)閣議決定でできるものはなんなのか、予算の増減で実現できることはなんなのか、という整理を次の内閣でよくやった上で、マニフェストをつくりたい。

 ――党役員人事にどう臨むか。

 ◆私にない刷新感を骨格人事の中でどうやってつくっていくかということは、一つ重要な観点だ。

 ――次期衆院選の候補者擁立についての考え方は。

 ◆まずは裏金の大物議員。安倍派、二階派の幹部のところで、きちっと有力な候補をあてていない選挙区があるので、そこをまず埋めていく。あんまり時間がないが、ここに一生懸命力を尽くす。可能な限り、有権者に選択肢を与え、自民党にペナルティーを与えられる環境を作る。

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