決選投票の末、自民党の新総裁に石破茂氏が選ばれました。

1回目の投票では2位だった石破氏。
この逆転劇の舞台裏について解説します。

1回目の投票では、国会議員の他に全国の党員・党友による投票も行われました。

各都道府県で得票数1位を獲得した候補者を見てみると、神奈川県では小泉進次郎氏、栃木県では茂木敏充氏と、やはり“地元”というのは強く影響したものとみられますが、党員票としては高市早苗氏と石破氏が他の候補者に大きく差をつけて圧勝となりました。

その結果、1回目の投票では高市氏が議員票72票、党員票109票の合計181票。石破氏が議員票46票、党員票108票の合計154票を獲得しました。

1回目の党員票が109票と大きく伸びた高市氏ですが、各都道府県での得票数を見ると、宮城、埼玉、東京、千葉、愛知、京都、福岡など特に大都市での票を集めました。

一方、前評判が高かった小泉氏については、選挙戦中に報じられた答弁の不安定さや、短い言葉で語る姿勢が裏目に出た形となり、得票数が伸びませんでした。

また、自民党の保守系の支持者にとっては選択的夫婦別姓といった考え方について、反発もあったとみられます。

続いて行われた決選投票は、1回目の投票と比べ石破氏の票数が大きく伸びる結果となりました。

当初は、麻生氏のグループと小林氏の保守系の票、さらに茂木氏の派閥の票が高市氏に乗ると予想されていました。

一方、石破氏には、菅氏、林氏、岸田氏らグループの票が乗るとの予想で、こちらのほうがやや優勢かと思われましたが、今回、中間的な小泉氏を支持した人たちのかなり多くの部分が石破氏に流れたとみられています。

さらに岸田派もほぼ一体となったことに加え、茂木派の中でも参議院を中心に票が流れるなど、地殻変動的に「高市氏では次の総選挙に必ずしも勝てないんじゃないか、石破氏のほうが幅広い支持を得られて国も安定するのではないか」と、土壇場で石破氏のほうが有利になったのではないかとみられています。

1回目と2回目で議員票に大きな違いが出た要因の1つには、リーフレット問題などを巡る高市氏への警戒感があったとみられます。

高市氏の人望と比較した時、石破氏のほうが幅広い支持が得られるのではということで、高市氏への不安感を、石破氏の持つ安心感が勝った結果とみられます。

今後、組閣、党の3役も含めどういうふうに選んでいくのか、石破新総裁の動向に注目が集まります。

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