過去最多9人が立候補した自民党総裁選。石破元幹事長が決選投票で逆転し、新総裁に選ばれました。
27日午後1時過ぎ、議員による投票が始まりました。
待っていたのは、波乱の展開です。
当初の見通しでは40票前後とみられていた高市早苗経済安全保障担当大臣の国会議員票が72票と伝えられると、会場には小さなどよめきが起きます。
高市氏と石破氏が決選投票に。3位敗退が決まった小泉進次郎元環境大臣の目には、うっすら涙が浮かんでいるようにも見えました。
国会議員票の比重が重くなる決選投票を前に、両候補が“最後の訴え”に臨みます。1回目の投票で、高市氏に26票差をつけられた石破氏は、こう切り出しました。
石破元幹事長
「私は至らぬものでありました。議員生活38年になります。多くの足らざるところがあり、多くの方々の気持ちを傷つけたり、いろいろな嫌な思いをされた方が多かったかと思います。自らの至らぬ点を心からおわびを申し上げます」
口にしたのは自分への反省。そして、自民党の“政治とカネ”問題への反省の言葉です。
石破元幹事長
「ルールを守る自由民主党、そして、国民を信じる自由民主党でなければなりません。国民の皆さま方、なお自民党を信じていないかもしれない。しかしながら、私は国民を信じて、逃げることなく、正面から語る自由民主党をつくってまいります」
一方、党員票で最多得票を得た高市氏。表情には、手ごたえが滲みます。
高市早苗経済安全保障担当大臣
「女性である私が、自由民主党総裁選挙の決選投票に進ませていただいた。これは私たちの自由民主党にとっても、我が日本国にとっても歴史的な瞬間だと思っております」
票の積み増しを意識したのでしょうか。歴代総理の名前を挙げ、感謝の言葉も述べました。
高市早苗経済安全保障担当大臣
「岸田総理のとき、そして菅前総理のとき、その前は、安倍元総理のとき、コロナ禍が始まり、日本は大変な状況だったんです。激務を果たしてこられた歴代の総裁にも、心から敬意を表し、感謝を申し上げます」
裏金問題に触れることはありませんでした。
3位以下の陣営の票がどちらに動くのか。焦点は、唯一派閥として存続している麻生派と、結束の固い岸田派の動向です。
麻生政権時代に、閣僚でありながら“麻生おろし”に動いた石破氏。麻生氏とは“犬猿の仲”とされています。
岸田総理はというと、保守色が強く、政治信条で距離のある高市氏が選ばれることは避けたいという思惑もあるとみられます。
決選投票の結果は、石破氏が逆転勝利を遂げました。
高市早苗経済安全保障担当大臣
「私の敗北は、私自身の力不足でございます。本当にたくさんの皆さまに応援をしていただき、ありがとうございました。結果を出せずに、すみません」
小泉進次郎元環境大臣
「自民党は、この後、大きな勝負が待ってますから、自分ができることをしっかり実行して、お支えしていきたい」
加藤勝信元官房長官
「得がたい経験をさせていただいた。誇りある時間を過ごすことができた」
河野太郎デジタル大臣
「(Q.結果はどのように分析を)終わったばかりなので、分析も何も」
茂木敏充幹事長
「やり残したことはない。また、あしたから頑張っていきたい」
上川陽子外務大臣
「(Q.決選投票どちらに)私は石破茂候補に入れました」
林芳正官房長官
「力いっぱい支えていただいて、素晴らしい成績を残していただいた」
小林鷹之前経済安保担当大臣
「(Q.次に総裁選があるとしたら)挑戦します。チャレンジャーですから」
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■歓喜の地元・鳥取 佳子夫人は涙地元・鳥取で、石破氏を支えてきた妻の佳子さん。
妻・石破佳子さん
「あまりにあれだったので、(頬を)つねってみて現実でした。痛かったです。(Q.ファーストレディーになり、外交とか公務で行く思うが)責任が重い」
当時、最年少29歳で政界入りした石破氏。以来38年、佳子さんは、地元の活動を担ってきました。その人気は、石破氏をしのぐほどともいわれています。
27日、支援者に求めたのは、夫への厳しいアドバイスでした。
妻・石破佳子さん
「褒めることばかりじゃなく、ここはこうした方がいいとか、アドバイスも、石破の目線では、これから物が見えなくなるかもしれません。私でも、事務局でも、どんどんお寄せいただきましたら」
鳥取市民
「ずっと応援していました。何十年ね、石破さんはやっとです。やっと、この度、血圧が上がるぐらい応援していました。万歳です」
新総裁誕生のニュースは、各国のメディアも速報で伝えました。
『日本を率いるアウトサイダー』との見出しが躍ったのはロイター通信。実は、石破氏、今月6日にロイターのインタビューに応じていて、USスチール買収をめぐり、アメリカ政府が、日本製鉄に圧力をかけた件について、こんな発言をしていました。
石破元幹事長(今月6日)
「同盟国に対しても、そういうディール(取引)を仕掛ける、あるいは脅しをかけるということは、最近のアメリカの特色だと思っているんです。同盟の信頼性を損なうようなことを言う。それは本当に正しいですか?ってことを、日本政府として誠心誠意、かつロジカルにお話をすることは、極めて大事なことだと思っています」
ロイター通信(27日付)
「石破氏は、より主体的な日本を提唱し、防衛において長年の同盟国アメリカへの依存を減らせるとしている。専門家は、こういった姿勢がアメリカ政府との関係をこじらせかねないと指摘している」
石破新総裁は午後6時ごろから、初めての記者会見に臨みました。
石破茂新総裁
「(Q.高市氏と小泉氏の起用については)人事については、まだ白紙でございます。共に戦った方を、それぞれの最もふさわしい役職にお願いをするということは当然のことでございます」
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