27日に投開票が行われた自民党総裁選で石破茂元幹事長が新しい総裁に選ばれました。
高市早苗経済安保相に逆転勝利した決選投票の舞台裏や石破新内閣の予想される顔ぶれなどについてジャーナリストの鈴木哲夫さんに聞きました。
◆決選投票で逆転勝利…舞台裏は
川崎キャスター:
鈴木哲夫さんは石破さんを20年前からずっと取材をしていて、石破さんの本も書いているという関係ですが(石破さんが勝つという)予想的中でした。見事ですね。
鈴木哲夫さん:
いや、僕は割と永田町では相手にされない人を取材するタイプなので取材してきましたけど、的中というか今週に入って議員の心理が随分変わっていたんですね。
立憲の代表に野田さんが誕生して、野田さんとしっかりこれから論戦できるのか、例えば高市さんは保守なんだけど野田さんも保守なので、野田さんと高市さんがもし「保守論」をやり合うと、野田さんの方が「穏健な保守」で多くの保守を取り込み、高市さんはむしろ先鋭化していってしまう危険性がある。
あとは参議院議員は来年自分たちの選挙がある。そうすると、あと1年間持つのはこの3人(石破氏・高市氏・小泉氏)の誰か、安定感ですよね。
そんなことで今週野田さんが立憲の代表に選ばれて以降、石破さん(に入れる)という人がけっこう増えてきていたんですね。だからきょう(27日)議員票で最後に逆転したのはまさにそこかなという気がしますね。
◆石破新総裁誕生の立役者は岸田首相
川崎キャスター:
決戦投票で結局どれくらい石破さんに票が乗ったのか気になります。小泉さんの票とか岸田さんのいわゆる派閥の票とか、どのあたりの票が乗りましたかね。
鈴木哲夫さん:
岸田さんのところは乗っていると思いますね。それから来年の参議院選挙で改選の人たち。あと総選挙が近いけど、なかなか選挙は厳しいという1回生、2回生、このあたりが乗った。
逆に高市さんの方に乗るだろうと言われてたのが、まさに福岡の麻生(太郎)さんとか安倍派の人たちなんだけど、これはやっぱり全員は乗っていませんね。だから派閥全体、例えば麻生派なら54人ぐらいかな、そのうちどれだけ乗っただろうか。
麻生さんは、福岡の党員票では高市さんが1位だったからそこでなんとかメンツ保ったけれども、実は麻生派全部は動いていない気がします。
だから今回、キングメーカーがいっぱいいました。菅(義偉)さんとか麻生さんとか岸田さん。麻生さんも、小泉さん負けたから菅さんも、キングメーカーとしてちょっと力が落ちて、今回一番キングメーカーで目立ったのは岸田さんってことになりますよね。最後、石破さんに乗って勝っちゃったわけですからね。
さらにもう一つ、石破さんは「岸田さんの経済政策を引き継ぐ」と言った。これ、僕は(岸田さんと石破さんが)握ったのかなと思った。つまり「岸田さんの政策引き継ぎますから僕を推薦してください」みたいなことで握ったのかなと思ったんだけど、岸田さんは自分の政策をちゃんと引き継がせていると。
だからキングメーカー争いで勝ったのは実は意外に岸田さんという側面も見えてきますね。
◆石破内閣に「小石川連合」再結集か
川崎キャスター:
今後のいわゆるキングメーカーの権力構造も変わってきそうですが、今後「石破内閣」が誕生します。総裁選の結果とか投票行動も踏まえると、石破内閣の顔ぶれはどうなりそうですか?
鈴木哲夫さん:
俗に言う「小石河連合」の小泉進次郎さん、河野太郎さんは再結集すると思います。閣内もしくは自民党の三役含めて入ってくるだろうと。
それと石破さんはこれまで本当に苦労してきて、そしてやっと総裁の座をつかんだということもあるので、今回総裁選で出馬したところから割と「オール自民党体制」みたいなものを作っていくのかなという気がしますね。
でもそれは逆に石破さんらしくもないわけですよ。だから人事はまず第一関門、なかなか難しいところだと。
◆石破さんと麻生さん 今後の関係は
川崎キャスター:
そして地元・福岡といえば麻生さんですけど、麻生さんはやっぱり派閥全体で高市さんに票が乗ったのかなと思いますが、石破さんと麻生さんの関係性はどうなりそうですか。
鈴木哲夫さん:
これはずっと(関係)悪いでしょう、麻生さんが総理のときに「やめろ」と言いに行ったのが石破さんですからね。
当時、麻生さんは「絶対許さねえ」と言ってましたからね。
だけど今回一応最後に石破さんが頭を下げに行っている。ここで麻生さんとバチバチやったところで挙党体制はできませんからけんかまではしない。ある程度石破石場さんはいいい距離を保とうとするんじゃないのかなと思います。逆に麻生さんがそれをどういうふうに思うかというところもあります。
だけどこれをきっかけに麻生さんと石破さんが決定的にダメになるということはないと思いますね。
◆衆院解散・総選挙はどうなる
川崎キャスター:
そして衆院解散・総選挙があると思いますが、総裁が石破さんになったということで解散総選挙はいつごろでしょうか。
鈴木哲夫さん:
石破さんが僕にはっきり言ったのは、要するに国会でちゃんと予算委員会の議論までやる、そして解散すると。
それからやっぱり補正予算を組まないとダメですよね。補正予算でちゃんと与野党で議論して、本当に使い道のある予算を組む。こんなことやってるとだいたい早くて11月10日もしくは11月17日あたりの総選挙かと。それ以降になると外交日程とか来年度予算を組まなきゃいけないので。
とにかく次の総選挙がポイントですからね。石破さんもこれまではいいこと言ってきたけど、政権取るといろんなところに気遣ってそれを言わなくなったりしたら石破さんらしくなくなるわけで、そういうことを総選挙で国民がきっちりと審判をするということが今度は必要になってくると思います。
だからこれまで想定されていた最速の日程の10月27日はなくなっただろうという見立てですね。
今夜なんとか何回か電話して捕まえようと思ってますけど、また分かったら報告しますよ。
川崎キャスター:
分かりました。10月27日はないんじゃないかなということですね。
この後、石破新総理となっていくわけですので、哲夫さんの取材情報をまたお待ちしております。ありがとうございました。
(2024年9月27日放送「報道ワイド 記者のチカラ」より)
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