経団連は9月30日、2025年の年金制度改正に向けた見解を公表した。高齢者が一定以上の賃金を得ている場合に年金額が減る在職老齢年金制度について「将来的に廃止すべきだ」と打ち出した。「まずは対象者の縮小にとどめ、30年改正で廃止に向けて本格的に検討すべきだ」と明記した。

政府は年金制度を5年に1度見直しており、24年末にかけて25年改正の中身を詰める。

在職老齢年金制度は賃金と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、支給額がカットされる仕組みだ。これに該当しないように労働時間を抑える「働き控え」を招いているとの見方がある。

経団連は「極力多くの高齢者に引き続き経済活動に参加いただき、社会保障をはじめ社会を支える側に立ってもらうことが今後一層重要となる」と指摘した。

前回の改正議論では在職老齢年金制度の維持を訴えていたが、60代後半や70代になっても働ける制度を整えた企業が増えていることをふまえ、主張を転換した。支給停止になる基準額の引き上げによって対象者を減らすべきだとしている。

厚生年金の適用拡大に関しては、パート労働者らにかかる企業規模の要件の撤廃を提起した。30年改正でも週20時間未満で働く人への適用など要件緩和を進めるよう強調した。

会社員らの配偶者が年金保険料を納めなくても老後の基礎年金を受け取れる「第3号被保険者制度」の変更を巡っては、慎重に議論する姿勢を示した。適用拡大などの進捗をふまえて「検討、再構築することが望ましい」と記した。

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