11月投開票も想定されていた衆院選が「10月15日公示、27日投開票」の日程で行われる見通しになった。残り1カ月を切るタイトなスケジュールで、各地の選挙管理委員会も慌ただしく準備に走り出した。
「週末の土曜日までは同日選はないかなと……。手のひらを返された感じで、今朝からバタバタだ」。岩手県奥州市選管の担当者はそう打ち明ける。
岩手県は、広瀬めぐみ元参院議員(自民党を離党)の辞職に伴う参院補選が10月27日に投開票される。奥州市選管は投票所入場券を既に刷っていたが、衆院選が加わるため刷り直しを検討している。衆参合わせた1枚にする方向で調整中だ。
盛岡市選管も対応を余儀なくされている。投票所の事務を担う人数(当初予定660人)を80~90人追加し、開票所の事務に当たる人数(同285人)を140人増やす方向だ。さらに投開票日は、職員も運営に携わる「いわて盛岡シティマラソン」が開催される。担当者は「昼はマラソン、夜は開票所と職員は朝から夜まで仕事になる。交通規制もするので、投票への影響がないよう期日前投票を周知したい」としている。
10月27日投開票で町議選が予定されている北海道豊浦町。そこへ村井洋一町長の辞職表明(9月30日付で辞職)、さらには衆院選が浮上し、「トリプル選」の可能性が浮上した。
町選管の石川壮輔事務局長は「トリプル選なんて初めて」と不安そうに話す。開票所として押さえているスポーツセンターは広く、三つの選挙があっても作業スペースに問題はなさそうだが、「全町職員に動員をかけることになるかもしれない」と語る。ポスター掲示板の手配など決めないといけないことも多く「もう動き出さないと間に合わない」と忙しそうだった。
埼玉県入間市選管は、10月20日投開票の市長選を1週間後ろにずらし、衆院選と同日選にするか、1日以降に検討する。担当者によると、投票所入場券(約6万枚)はまだ印刷しておらず、同日選とする場合は記載内容の変更が間に合うかなど発注先と調整が必要になるという。
佐賀県では、衆院選投開票日の10月27日を挟む26~28日に全国障害者スポーツ大会(障スポ)が開かれる。障スポに人手が取られることや、過去の選挙で開票所として使われてきた主要な体育館が障スポの会場となっているため、県内の自治体選管は対応に追われている。
佐賀県基山町では、これまで開票所として使ってきた町総合体育館で卓球競技があるため、近隣小学校の体育館を開票所にできないか検討中だ。対応する町職員についても障スポに約20人、選挙の開票作業などに約80人が当たる予定だったが、一部が重複してしまうため人繰りの再調整が必要という。担当者は「やむを得ない。選挙にも障スポにも支障がないように進めたい」と話す。
佐賀県唐津市でも、開票所に使ってきた市文化体育館で車いすバスケットボールの試合が予定されているため、開票作業ができる別会場を調整中という。【田中綾乃、平山公崇、高木昭午、平川昌範】
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