自民党総裁の石破茂氏(67)が1日、第102代首相に選ばれ、石破内閣が発足。物価高対策や能登半島の復興をはじめ、日本が今、直面している課題にどんな道筋を示すのか。衆院選が間近に迫るなか、各地の人々が見つめている。
8月に初めて出された「南海トラフ地震臨時情報」の引き金となった日向灘地震で、40センチの津波が到達した油津(あぶらつ)港に近い宮崎県日南市の下東(したひがし)地区自治会長の益田政司さん(76)は、「末端の声をもっと聞いて」と訴える。
不安視するのは高齢者避難だ。港の横の狭い平地に約65世帯300人が軒を連ね、背後に急傾斜地が迫る。南海トラフ地震では最短14分で5~10メートルの津波が押し寄せる想定で、数年前に県などが津波避難階段をつくったが、自力で上るのが困難な高齢者が多い。
石破氏は防災・減災対策を抜本的に強化した「防災省」の創設を掲げるが、益田さんにとって議論は「遠い話のように聞こえる」。「必要なのは、避難階段維持のための草刈りの人手と、高齢者が階段を歩かず上れるベルトコンベヤーのような装置。地域や自治体でできないことへの支援の充実が欠かせない」と注文した。【塩月由香】
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