第214臨時国会が1日召集され、自民党の石破茂総裁が衆参本会議の首相指名選挙で、第102代首相に選出された。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による石破内閣が発足した。石破氏は国会会期末の9日に衆院を解散し、「15日公示、27日投開票」の日程で衆院選に臨む方針だ。
石破氏は衆院本会議に先立つ党代議士会で、次期衆院選に向け「全員が当選できるよう全身全霊を尽くす」と述べた。野党は、与党が提示した9日までの会期案に反発。衆院本会議の開会が遅れ、野党による会期への反対討論も行われたが、与党側の賛成多数で会期は9日までと決まった。
併せて衆参で首相指名選挙が行われ、石破氏が両院で過半数を得た。衆院(投票総数461票)では、石破氏291票▽立憲民主党の野田佳彦氏100票▽日本維新の会の馬場伸幸氏45票▽共産党の田村智子氏10票▽国民民主党の玉木雄一郎氏7票▽無所属の吉良州司氏5票▽れいわ新選組の山本太郎氏3票。参院(投票総数242票)では、石破氏143票▽野田氏45票▽馬場氏21票▽玉木氏12票▽田村氏11票▽山本氏5票▽国民民主の伊藤孝恵氏1票▽無所属の伊波洋一氏1票▽参政党の神谷宗幣氏1票▽自民の高市早苗氏1票▽自民の茂木敏充氏1票――だった。
石破氏はその後、首相官邸で公明の石井啓一代表と党首会談を行い組閣本部を設置。石井氏は次期衆院選の勝敗ラインについて「自公で過半数」だと官邸で記者団に言及した。公明は21年の前回衆院選より2人多い11人を小選挙区に擁立する方針で、「公明としては11小選挙区の完全勝利と、比例(代表)の現有23議席以上という目標に向けて頑張りたい」とも語った。
初入閣は13人で、2001年以降の自公政権では19年の第4次安倍再改造内閣、21年の第1次岸田内閣に並び最多だった。石破氏が総裁選で訴えた「防災庁」設置の準備担当を、自身の側近でもある赤沢亮正経済再生担当相に兼務させた。経済産業相が長らく兼務してきた「ロシア経済分野協力担当相」の設置は見送った。首相を除く閣僚19人のうち無派閥は半数を超えた一方、政治資金パーティー裏金事件の渦中にある安倍派の起用はゼロだった。
石破氏は4日に首相の所信表明演説、7日以降に衆参両院での代表質問、9日に党首討論を行ったうえで衆院解散に踏み切る考えだ。与野党は国会論戦に備えつつ、次期衆院選に向けた態勢整備や公約づくりを急いでいる。
石破氏は1986年衆院選で初当選し、当選12回。鳥取県出身者としては初の首相となった。【樋口淳也、内田帆ノ佳、野間口陽】
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