1日召集の臨時国会で、与党は野党側が求めていた予算委員会の開催を見送る方針を伝え、会期を9日間とすることを決めた。新首相に指名された石破茂氏は自民党総裁選中に予算委開催に前向きな姿勢を示していたが、野党は「うそつき」「敵前逃亡だ」などと反発を強めている。
1日の衆院本会議は、冒頭から荒れ模様となった。立憲民主党の小川淳也幹事長は会期反対討論で「まさに有言不実行、ここに至ってはもはや、うそつきのそしりすら免れない」と訴えた。その後の参院本会議でも立憲の吉川沙織氏が「(石破氏が)総裁選で発言していた『国民に判断材料を示す』ことは達成できなくなり、明らかな言行不一致と言わざるを得ない」と強調した。
与党は4日の所信表明演説の後、7日に衆院、8日に参院で代表質問を行い、党首討論を9日に実施する日程を提案した。
ただ、党首討論は首相と野党党首が1対1で質疑を行うが、慣例では45分間しかない。近年は野党が多極化し、消化不良に終わることが多い。一方、予算委なら全閣僚が出席し、時間も十分取れる。
石破氏は当初、予算委の開催に前向きな発言をしていた。9月14日の日本記者クラブ討論会では「国民が判断する材料を提供するのは新しい首相の責任だ。本当のやり取りは予算委だ」と発言。27日の総裁就任記者会見でも「全国民の代表者である国会議員で構成される野党の方々とも論戦を交わした上でご判断をいただきたい」と述べていた。
ところが30日の会見では「できる限り早期に国民の審判を受けることが重要。(予算委を開催するかは)国会の判断に従いたい」として、慎重姿勢に転じた。
自民党内では、総裁選で石破氏が裏金問題に関与した議員の公認見送りに言及したことを踏まえ「予算委を開くと公認の是非が再燃し、失わなくていい議席まで失う」と警戒する見方がある。
野党は石破氏の「変節」を追及する。日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「戦う前から逃げている。『敵前逃亡内閣』だ」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表は「国民の声を丁寧に聴く姿勢が全くない」と断じた。共産党の田村智子委員長は、首相指名後にあいさつに訪れた石破氏に「議論なしの解散はあり得ません。徹底した議論をやりましょう」と声を掛けたが、返答はなかった。【源馬のぞみ、田中裕之、田辺佑介】
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