「クオータ制を推進する会」の山崎摩耶さん(左から2人目)から要望書を受け取る石破茂氏=フェイスブックより

 ふたを開ければ閣僚は2人のみ。副大臣と政務官を加えても4人だけ――。石破茂内閣・政務三役の女性の数だ。首相就任前は、女性の活躍を主張し、選挙の候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」にも理解を示していた石破氏。女性議員を増やす取り組みを進める「クオータ制を推進する会」の役員は新体制の女性の少なさに「残念」と話す。

 推進する会は9月、自民党総裁選と立憲民主党代表選の候補者全員に要望書を出し、回答を求めていた。

自民党総裁選と立憲民主党代表選に合わせて「クオータ制を推進する会」が各候補者へ提出した要望書。会としては初めての試みという=フェイスブックより

 次期衆院選、参院選で擁立する女性候補者を35%以上にする▽法改正によるクオータ制の実現▽党を挙げたジェンダー平等政策の推進――の3項目を要望し、回答を求めた。

 立憲民主党は4人全員が回答したが、自民党は9人の候補者のうち3人だけ。自民の3人のうち石破氏だけは直接会って対応したという。

 クオータ制を推進する会の役員で、元衆院議員の山崎摩耶さんは「うれしかったです」と振り返る。

 石破氏は2016年ごろにも推進する会と面談したことがあったというが、今回は自民党総裁選の告示前日の9月11日。昼の30分の時間を割いて対応した。

 面談で石破氏は「クオータ制に賛成」とした上で「制度化しても実態が伴わないと意味がない」と話した。

 また、地元の鳥取県などの地方では女性が立候補したくても家族に反対されることが課題であると指摘。3月の鳥取県議補選では自民推薦の新人の女性候補の応援に何度も駆けつけ、結果その候補が当選したエピソードを披露した。石破氏は「女性自身も尻込みしないで積極的に候補者になってほしい。そのための環境整備はする」と明言したという。

 石破氏は自民党総裁選の政策集にも「先進国中最下位に甘んじている我が国の女性活躍の指標(=ジェンダー・ギャップ指数)の迅速かつ大幅な改善を図ります」と記していた。

 だが、実際には石破新内閣の女性閣僚は2人だけ。山崎さんは、第2次岸田再改造内閣で過去最多タイだった女性閣僚5人の起用と比較し、「見劣りする。今までのように自民党内の力が働いたのは残念」と語る。

 ただ、自民党総裁選の立候補者9人の中で、クオータ制の導入に最も理解を示した石破氏への期待も大きい。

 石破氏は4日の首相の所信表明演説で「意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます」と述べた。

 山崎さんは「改革するには時間がかかる。短命政権に終わらないよう見守りたい。信念を曲げずに頑張ってほしい」とエールを送る。

 自民党総裁選では、小泉進次郎氏が「選択的夫婦別姓制度の法制化」を公約に掲げたことで争点に浮上した。山崎さんは「ジェンダー平等のための課題は選択的夫婦別姓だけではない」と訴えた。【御園生枝里】

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