衆院が解散され、事実上の選挙戦が始まったが、野党候補が競合する選挙区は多く、「共闘」は進んでいない。立憲民主党の野田佳彦代表は国民民主党や日本維新の会との連携を模索するが進展はなく、共産党は保守中道路線に傾く野田氏への反発を強めており、共闘には暗雲が垂れこめている。
「限られた時間だが、可能な限り誠意ある対話をし続けていきたい」。野田氏は9日、国会内で記者団に、引き続き野党候補の一本化を目指す考えを示した。代表就任後、野田氏は各党首と会談し「自民党の裏金に関与した議員を落とすための一本化なら連携の大義になる」と候補者調整を呼び掛けてきた。ただ各党から色よい返事は得られていない。
野田氏が重要な連携相手とみなす国民民主の玉木雄一郎代表は、裏金議員への野党候補一本化について「意義は理解した」とする。一方で、共闘の前提として立憲の候補者取り下げを求めているが「(立憲の)具体的な動き、努力をされていたのかよく見えなかった」と不満を示した。
維新の馬場伸幸代表は、維新の候補者がいない選挙区では新たに候補者を擁立しないものの、候補者の取り下げには応じない構えだ。野党の競合区について「主な野党で統一しようと思えば4党の統一になる。理論的に無理だ」との認識を示す。
野田氏は代表選で、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制の継続を容認する姿勢を示した。これに共産の田村智子委員長は「安保法制廃止は野党共闘の原点だ」と反発。野田氏の地元・千葉県の小選挙区などに次々と候補者擁立を発表し、圧力を強めてきた。田村氏は「限定的な共闘にならざるをえない」と述べた。
立憲の泉健太前代表は150議席を獲得できなければ代表を降りると事実上の勝敗ラインを定めていた。野田氏は「自公過半数割れ」を掲げるが、目標とする獲得議席数について明示していない。野田氏は今回の総選挙を「政権交代に向けたチャンス」と位置づけるが、自公政権とともに、立憲や野田氏の真価を問う選挙ともなる。【源馬のぞみ、中村紬葵、加藤明子】
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