衆院解散から一夜明けた10日、与野党は15日公示ー27日投開票の衆院選に向け事実上の選挙戦に突入した。解散から18日後の投開票で戦後2番目の早さの短期決戦になる。石破茂首相はラオスで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連首脳会議に出席するため羽田空港を出発した。与野党幹部は各地で街頭演説に立ち、支持を訴える。

衆院選は2021年10月以来3年ぶり。小選挙区定数「10増10減」を受けた新しい区割りで初めて実施する。小選挙区289、比例代表176の計465議席を与野党で争う。持続的な賃上げや成長戦略への道筋、政治改革などが論点となる。

首相は10日、ASEAN関連首脳会議に出席する。外交の表舞台に初めて立つ。中国の李強(リー・チャン)首相や韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と個別会談する。

自民党は同日、衆院選の公約を発表する。首相の所信表明演説を踏まえ「ルールを守る」など6つの柱で構成する見通しだ。政治資金問題を巡り「厳しい反省のもとルールを徹底して守る政党に生まれ変わる」と強調する。

公明党は石井啓一代表が東京・秋葉原で街頭演説する。公約で政党が議員個人に渡す政策活動費の廃止をうたう。岡本三成政調会長は7日の記者会見で「一番問われているのはどの政党がクリーンな政治の実現をリードしていけるかだ」と指摘した。

政権交代を唱える立憲民主党の野田佳彦代表は横浜市や相模原市で街頭演説をする。公約は「分厚い中間層の復活」などを柱とし、中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」を盛り込んだ。自民党の政治資金問題を引き続き追及する予定だ。

日本維新の会の馬場伸幸代表は長崎市や熊本市を訪れる。9日夜には東京・銀座で街頭演説した。「わたしたちも100点満点ではないが、常に改革を進めていく、一歩ずつ有言実行しているのは維新だけだ」と訴えた。

国民民主党の玉木雄一郎代表は渋谷駅前を皮切りに、都内8カ所で街頭演説する。公約で「給料・年金が上がる経済を実現」などを掲げた。10日夜には動画投稿サイトのYou Tubeでの発信もこなす。

共産党は物価高に対応するための年金支給額引き上げ、れいわ新選組は消費税廃止などを提唱する。社民党は3年間の消費税ゼロ、参政党は積極財政を打ち出している。

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