集まった人たちと言葉を交わす日本維新の会の徳安淳子氏=兵庫県尼崎市で2024年10月10日午後6時56分、加古信志撮影

 兵庫8区(兵庫県尼崎市)は、公明前職の中野洋昌氏(46)=4期=と、維新新人の清水貴之参院議員(50)との対決になる見通しだった。だが、文書告発問題で追及を受けた斎藤元彦前知事(46)の失職に伴う出直し知事選が11月にあり、清水氏は知事選出馬を選択。維新は急きょ8区で徳安淳子県議(62)の擁立を決めたが、公示目前の候補予定者差し替えで、焦りをにじませる。

 8区は公明元幹事長の冬柴鉄三氏の牙城だった。2009年の選挙では田中康夫・元長野県知事(新党日本)に敗れたが、冬柴氏の後を受けた中野氏が12年に議席を奪還。「常勝関西」と呼ばれる強固な地盤の一つだ。尼崎市議会(定数42)でも公明(12人)は、維新(7人)を上回る最大会派。維新は大阪都構想などで公明に協力を求める関係上、これまで候補擁立を見送ってきた。

 元アナウンサーで知名度が高い清水氏との対決が前提だった9月中旬、中野氏は取材に「維新は野球でいうメジャーリーガー。厳しい選挙になる」と危機感をあらわにしていた。その後、徳安氏に差し替わったが、公明市議は「維新のブランド力に加え、女性候補は強い。楽勝ではない」とさらに気を引き締める。

 一方、県議5期目の徳安氏は7日の記者会見で「めちゃくちゃ出遅れている。中野先生は4期務め(地元回りなどを)こまめにされており、焦っている」。陣営関係者も「この1年、清水さんが出るため必死でやってきたが、徳安さんがこれからどれだけ浸透していくかが課題だ」と話す。

演説する公明党の中野洋昌氏=兵庫県尼崎市で2024年10月10日午後5時3分、加古信志撮影

 衆院解散翌日の10日、中野氏はJR尼崎駅前で「大変厳しい選挙。皆さまの声に誠実に寄り添い、形になるまでしっかりと仕事をしたい」と訴えた。一方、徳安氏は市内で「支部長就任報告会」を開催。「あの党だけだった議席を今度は私に」と支援者に呼び掛けた。

 兵庫8区には共産新人の小村潤氏(49)らも立候補を予定している。【稲垣淳】

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