自民党の政権公約を発表し、記者の質問に答える小野寺五典政調会長=同党本部で2024年10月10日午後3時21分、平田明浩撮影

 自民党は10日、衆院選(15日公示、27日投開票)の政権公約を発表した。「ルールを徹底して守る政党に生まれ変わる」として、派閥の政治資金パーティー裏金事件で失墜した党の信頼回復に取り組む姿勢を前面に押し出した。一方、9月の総裁選で複数の候補者が言及した政策活動費の廃止は「将来的な廃止も念頭に」と弱含みの表現にとどめ、いまだ明らかになっていない事件の真相究明に関する記載もなかった。

 公約は①ルールを守る②暮らしを守る③国を守り、国民を守る④未来を守る⑤地方を守る⑥新たな時代を切りひらく――の6本柱で構成。一つ目を「ルールを守る」とした理由について、小野寺五典政調会長は記者会見で「現在の状況下で選挙を戦う上で、まずは政治改革の覚悟を示さなければならない」と説明した。

 裏金事件を巡り「厳しい反省」のもとで「国民からの信頼回復に全力を尽くす」と明記した。一方、党から議員個人に支給し、使い道を明らかにする必要がなかった政策活動費については「将来的な廃止も念頭に」との曖昧な表現にとどめた。小野寺氏は「かなり議論があったが、最終的にはこの書き方でまとまった」と理解を求めた。

 国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)については使途公開、未使用分の国庫返納などを盛り込んだ。

 外交安全保障では「台湾有事が現実の課題となりつつある」と指摘。「台湾との間のさまざまなレベルでの実務協力を進めていく」と記した。首相の持論であるアジア版NATO(北大西洋条約機構)創設は明記せず、日米同盟を基軸に「地域の安全と安定を確保する取り組みを主導する」と記載するにとどめた。小野寺氏は「既に首相から党政調で議論をするよう指示された」とし、衆院選が終わり次第、小野寺氏をトップとする機関を設立して議論を始める考えを示した。

 総裁選で首相が訴えた、在日米軍の法的地位などを定めた日米地位協定の改定については「あるべき姿を目指す」とのみ記載した。

 経済政策では、成長と分配の好循環をさらに加速していくと明記。物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資などが積極的に行われる経済の実現を目指すとした。電気・ガス代の高騰対策や物価高対策にも取り組むとした。

 防災庁について「設置に向けた準備を進める」と明記。災害関連死ゼロの実現に向け「避難所の環境を抜本的に改善」するとし、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド、風呂などが利用できるよう対策を進めるとした。【遠藤修平】

自民党 衆院選の公約ポイント

・国民からの信頼回復に全力を尽くす

・政策活動費は将来的な廃止も念頭に検討

・旧文通費は使途公開、未使用分は国庫返納

・日米地位協定のあるべき姿を目指す

・成長と分配の好循環をさらに加速

・防災庁の設置に向けた準備を進める

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