自民党は11日、衆院選の2次公認候補65人を発表した。1次公認とあわせて344人を立てる。同党の女性候補は1、2次公認あわせて計56人で、衆院選が小選挙区比例代表並立制になって以降最多になる。2021年の前回衆院選で擁立した33人からおよそ7割増やした。
女性候補は1、2次公認あわせて小選挙区で25人、比例代表の単独立候補で31人が決まった。全体に占める割合は16%で、21年衆院選の10%から上積みした。政治とカネの問題で党への逆風が続く状況で刷新感を出す狙いがある。
自民党は女性候補の擁立で後手にまわってきた。21年衆院選の候補者の女性比率10%は全体の18%を下回った。立憲民主党は18%、共産党は35%だった。
菅義偉副総裁と森山裕幹事長、小泉進次郎選挙対策委員長が11日に党本部で話し合い、2次公認を決定した。森山氏は協議後、記者団に「自民党はしっかりルールを守るとしっかり国民に示すことが大事だった」と強調した。
女性擁立は小泉氏が主導した。11日は菅、森山両氏との協議に先立ち、7人の比例単独候補と個別に会って出馬を確認した。そのうち4人が女性で、シングルマザーの支援や子どもの権利保障に関わってきた人物だった。
子育て支援や女性活躍を重視する姿勢を前面に出し、「新しい自民党」を訴える狙いがある。小泉氏は記者団に「これからも新たな人材の発掘に努め、多くの女性候補者と若手の擁立を目指していきたい」と説明した。
自民党が政治資金収支報告書の不記載があった場合の小選挙区と比例代表への重複立候補を認めなかった影響もある。比例代表は重複立候補者が減るため、単独で出馬する候補者を増やす必要があった。そこに女性を多く立てた。
自民党から比例単独で出る女性は21年に比べ3倍近くになった。比例単独候補の一人は「5日ほど前に知人を介して声をかけられた」と打ち明ける。党執行部が急ピッチで候補集めを進めたことを浮き彫りにする。
自民党は23年、10年で党所属国会議員の女性比率を3割に増やす目標を掲げた。今年6月に女性議員の活動や、女性支部長までの道のりを紹介するウェブサイトを立ち上げた。新人女性の相談を受けるメンター制度も導入している。
日本で女性の政界進出が進むものの世界各国に比べると依然として見劣りする。国連の資料によると、日本の衆院議員に占める女性の割合は23年1月時点で10%だった。186カ国のなかで164位にとどまった。主要7カ国(G7)では最下位にあたる。
日本では18年に男女の候補者数を均等にするように政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法」が施行された。実現の道のりは遠い。
女性活躍をめぐっては衆院選で選択的夫婦別姓の導入が争点の一つになる。立民や共産党などの野党に加え、自民党と連立を組む公明党も導入に賛成している。
就任前は前向きな考えを表明していた石破茂首相は「家族の在り方の根幹に関わる問題」として、慎重な立場もみせる。
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