見送りを受け出港する海洋調査船=25日午後、沖縄県石垣市(大竹直樹撮影)
調査船に乗りこんだ(左から)中山義隆・石垣市長と山田吉彦・東海大教授

尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域を調査する同市の海洋調査船が25日午後5時ごろ、石垣港を出港した。26日夜に帰港する。調査は令和4年1月と昨年1月に続き3度目。赤外線センサーを搭載したドローンを活用し、ヤギによる植生の食害など環境破壊の実態を調査する。対中関係の緊迫化を懸念する政府は魚釣島への上陸を認めていないが、今後に向けて、必要な科学的データを集める狙いがある。

石垣市の中山義隆市長は乗船前に取材に応じ「今回は初めて魚釣島北側の調査を行う」と述べ、上陸調査に向け「県も国に対しサポートしてほしい」と強調した。

魚釣島ではセンカクモグラなどの固有種を含む貴重な自然が残っているが、市から調査を委託された東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「ヤギの食害で土壌崩壊が始まり、周辺海域の生態系への影響が懸念される。歯止めをかけるためにも調査が必要だ」と語った。

尖閣周辺では25日も領海に中国海警局の船1隻が侵入するなど緊迫した状況が続く。石垣市は今月1日、尖閣諸島対策室を設置。調査研究や情報発信など尖閣への対応強化に乗り出している。

外交問題に詳しい名桜大の志田淳二郎准教授(国際政治学)は「南シナ海、東シナ海で中国の力や威圧による一方的な現状変更の試みが進む中、石垣市の調査は国連海洋法条約により認められた主権的な行為だ」と指摘。「日本政府も本腰を入れて取り組まなければならない」と話した。

尖閣諸島の(手前から)南小島、北小島、魚釣島

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