現行憲法下で27回目となる第50回衆院選は15日公示され、27日の投開票に向けた12日間の選挙戦が始まった。自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革など「政治とカネ」問題への対応や、物価高を踏まえた経済対策などを争点に、論戦が交わされる。自民、公明両党は連立政権の継続、立憲民主党など野党は政権交代を訴える。与野党の党首は全国各地で第一声を上げた。
衆院定数は、全国289小選挙区、11ブロックの比例代表(176議席)で、計465議席を争う。自民、公明は与党で過半数(233議席)の維持を目標に掲げる。自民が単独で過半数を維持するかも焦点だ。自公の公示前勢力は計288。立憲は自公の過半数割れを目指す。裏金事件を受け、自民は政治資金収支報告書に不記載のあった前議員ら12人を非公認とし、34人について比例代表との重複立候補を認めない異例の措置を取った。
石破茂首相(自民総裁)は15日、福島県いわき市で「私たちはパーティー収入の不記載が二度とないよう、深い反省のもとに臨む。この選挙を日本創生のための選挙だと位置付け、もう一度新しい日本をつくっていく」と訴えた。公明の石井啓一代表は東京都豊島区で「国内外の課題にしっかりと答えを出し、政策を進めることができるのは豊富な実績と経験のある自公の連立政権しかない」と主張した。
これに対し、立憲の野田佳彦代表は東京都八王子市で「裏金は許しちゃいけない、忘れちゃいけない。その思いを皆さんと共有したい。裏金議員を裏から支える自民党政治に決別しよう」と訴えた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は東京都新宿区で「政治への信頼を取り戻すためには政治とお金の問題をもっとクリーンに、もっと見える化をしていかなければならない」と強調した。
共産党の田村智子委員長は東京都豊島区で「(石破政権は)裏金への無反省、賃上げ無策の姿勢があらわになっている。表紙が替わろうとも自民党は何も変わらない」と述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表は神戸市で「既得権益にしがみつく古い政治家を選ぶのか、普通の感覚を持った政治家を選ぶのかが一番大きな争点だ」と訴えた。
れいわ新選組の櫛渕万里共同代表は東京都墨田区で「国民を救う政治に大転換していく。そのための経済政策を第一に掲げる」と語った。社民党の福島瑞穂党首は沖縄県浦添市で「自民党政治を終わらせる歴史的な選挙だ。医療、介護などの予算が圧迫されている政治を変えていこう」と訴え、参政党の神谷宗幣代表は大阪市で「争点は、激動の国際情勢のなかで日本がどう生き残っていくかだ」と述べた。
1日の石破首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短で、異例ずくめの「短期決戦」となる。
また今回の衆院選は、小選挙区定数「10増10減」などを受けた新たな区割りで初めて実施される。「1票の格差」の是正が狙いで、25都道府県・140選挙区で区割りが改定された。【内田帆ノ佳、樋口淳也】
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