第50回衆議院選挙が15日、公示された。自民党派閥の裏金問題を受けた改革を各党が大きな争点に位置づけるなか、政治の信頼回復につなげられるのかが問われる。物価高への対応をはじめとする経済対策、外交・安全保障政策なども大きな争点となる。期日前投票は16日から始まり、27日に投票、即日開票される。

 9日の衆院解散から投開票までは18日間で、戦後2番目の短期決戦。石破茂首相(自民党総裁)は勝敗ラインを「自公で過半数(233議席)」としており、自公で政権を維持するのか、野党が過半数割れに追い込むのかが焦点だ。

 裏金問題をめぐっては、実態解明が進まず、再発防止に向けた対策も踏み込み不足との指摘が相次ぐ。与野党各党は、衆院選公約の柱に政治改革を掲げる。

 石破首相は15日、福島県いわき市での第一声で「政治とカネの問題が二度とないように、深い反省のもとに臨む」と語り、「日本創生のための選挙だ」として支援を呼びかけた。衆院選後、歳出総額13兆円だった昨年を上回る今年度補正予算を編成する方針を表明し、経済対策に注力する考えを強調。「公明党とともに過半数の議席を得たい」と訴えた。

 公明党の石井啓一代表は第一声で、「失われた信頼をどの政党が取り戻せるかが問われる選挙だ」と指摘。使途公開の義務がない「政策活動費」の廃止を掲げた。物価高対策として電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費への支援を継続するとした。

 一方、野党側は裏金問題で与党への追及を強めるが、候補者一本化は進まず、政権批判票が分散する可能性もある。

 立憲民主党の野田佳彦代表は、裏金問題で自民が非公認とした前職の地盤である東京都八王子市で第一声に立った。前職らが説明責任を果たしていないとしたうえで、首相も国会で予算委員会を開かなかったことに触れ、「裏金隠し解散」だと批判。自民と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点も問題視し、「自民党には自浄能力がない」として政権交代を訴えた。

 日本維新の会の馬場伸幸代表は、政治家の「身を切る改革」で生み出す財源を教育無償化などに充てると主張。消費拡大に向けて消費税を8%に引き下げるべきだと訴えた。共産党の田村智子委員長は自民政権が進める防衛力強化への反対を唱え、国民民主党の玉木雄一郎代表は減税や社会保険料の軽減により、現役世代を中心に「手取りを増やす」と主張した。れいわ新選組は山本太郎代表が緊急入院したため、櫛渕万里共同代表が第一声に立った。山本氏は同日中に退院した。

 衆院選は定数465(小選挙区289、比例区176)を争う。1344人が15日に立候補を届け出た。与党は、自民342人、公明50人の計392人。立憲、共産、国民、れいわ、社民の野党5党は21年の前回衆院選で共闘したが、今回は候補者調整が進まず、計567人を擁立した。前回より134人増えた。(森岡航平)

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