今回の衆院選には女性が314人立候補し、全候補者に占める割合は過去最高の23.4%に達した。自民党は過去最多となる55人の女性候補を立て、刷新感をアピールする。だが、女性が増えたのは裏金議員の比例重複を認めず空いた枠に女性を重点的に起用した影響が大きく、小選挙区は低い水準にとどまった。(近藤統義、坂田奈央)

街頭演説する女性候補者(木戸佑撮影)

◆「今までの自民党ではチャンスがなかった人材が現れてきた」

 候補者の女性比率を党別でみると、自民16.1%、公明16%、立民22.4%、維新17.7%、共産37.3%、国民21.4%、れいわ34.3%、社民29.4%、参政37.9%。  自民は裏金事件を受け、公示前に政治資金収支報告書に不記載があった議員らに対し、小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない方針を決定。名簿に載せる候補が減った分を、比例代表の単独候補で補う必要に迫られ、女性や若者を積極的に充てた。比例単独では候補者76人のうち女性が30人を占めた。  小泉進次郎選対委員長は「今までの自民党ではチャンスがなかった人材が現れてきた」と意義を強調。しかし、裏金議員に代わって起用された候補者の比例名簿の登載順位は下位がほとんどだ。

◆「小選挙区も含めて女性の擁立を増やすべきではないか」

 小選挙区をみると、自民が候補者を擁立した266選挙区のうち、女性は1割以下の25人にとどまり、前回と同様の低水準。女性の新人は6人だけだった。  一方、立民の女性候補者も過去最多の53人(小選挙区47人、比例単独6人)。小選挙区の候補者(207人)の2割が女性となった。大串博志選対委員長は「これとて誇れる数字ではない。女性の政治進出を後押しするのであれば、小選挙区も含めて女性の擁立を増やすべきではないか」と指摘した。  2018年には男女同数の候補者擁立を政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法」が施行された。10%程度にとどまってきた衆院議員の女性比率が選挙後に高まるのか注目される。

衆院選が公示され、候補者(中央)の訴えを聞く女性たち(平野皓士朗撮影)




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