27日に投開票が行われる衆院選。県内では史上最多となる10人の候補者が乱立し、1区2区ともに混戦となっています。
  
マスコミ各社が行っている選挙報道の中に出てくる情勢調査では「リード」「一歩リード」など独特の用語が使われ、候補者の情勢を表しています。このような表現には暗黙のルールがあるのをご存じでしょうか。
   
新聞記者や論説委員として約40年間、選挙報道に携わり、仁愛大学の特任教授も務めた橋詰武宏さんに、選挙報道について話を聞きました。
 
マスコミ各社が行う情勢調査は主に電話で行われ、候補者ごとの数値が出てきます。「その数値をどう分析し、表現するかが各報道機関に与えられた使命だ」と橋詰さんはいいます。
   
情勢調査を報道する際は、数値の公表はせずに“言葉のニュアンス”で表現します。
 
その理由について橋詰さんは「報道の影響力がある。公示直後と中盤には情勢調査を出すが、後半は影響力が大きいため出さない。数値を出すと選挙戦の妨害にあたる」とします。
 
そこで用いられているのが独特の用語です。
 
▼候補者同士、逆転することが難しいような一定のポイント差がついている場合には「リード・安定・先行」という表現が使われます。▼ポイント差が縮まってくると「ややリード」▼本当に競っているとき、判断がつかないときは「混戦、横並び、互角」という微妙な表現となります。
 
また「A氏、B氏拮抗」という場合、名前が先に出てくる候補者(A氏)の方が、ポイントが高いことを示しています。
  
このように具体的に表示できるようになった背景には「これまでの調査により分析の精度が高まり調査の評価が上がったという要因もあるのではないか」と橋詰さんは推測します。
 
ただ「数値の調査に頼ってばかりではいけない」と強調します。「その時の熱気、風向きを読まないといけない。最終的には選挙をする人や陣営の活力は数値では表現できないので、やはり取材力や現場感覚が大事。取材を怠ってはいけない」(橋爪氏)
 
橋詰さんは最近では選挙活動にネットの活用も進んで判断がつきにくく、選挙の様相も変わってきているといいます。
  
選挙の盛り上がりは終盤3日間。
  
「候補者を決めかねている人は雰囲気をみて伝播していく。選挙に活気が出てくると、投票率も伸びる。そうなってきたときに大きな変化が出る」と橋爪さんは強調します。
  
保守王国の福井で“裏金問題”について県民はどう審判を下すのか。これまでの選挙環境とは違う、新しい環境のもとで行われる今回の選挙戦。
 
「有権者は思いを行動に表し、投票で思いを伝えてほしい。それが日本の新しい政治を作っていく」と橋詰さんは訴えます。

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