27日投開票の衆院選で、自民党と公明党を合わせた与党で過半数を下回ることが確実となった。さしあたって、近く開かれる特別国会での首相指名選挙で第2次石破内閣を発足させるために、過半数に足りない分をどう確保するのかが注目される。

自身の当選確実を受け、万歳する玉木雄一郎代表=10月27日夜、都内で(佐藤裕介撮影)

衆院選では、自公政権とは距離を保ちつつも時に協力的な姿勢も見せてきた国民民主党が大幅に議席を伸ばす勢いだ。連立交渉の相手の一つと目されるものの、選挙戦で激しく政権批判してきた経緯から、ただちに与党入りするとは考えにくい。27日夜、玉木雄一郎代表や榛葉賀津也幹事長はどう答えたのか。(佐藤裕介)

◆首相指名選挙では「玉木雄一郎と書きます」

自身も香川2区で6回目の当選を確実にした玉木雄一郎代表は27日夜、インターネット番組に出演。連立与党に加わる可能性について問われたが、これまで訴えてきた「働く人の手取り収入を増やす」「ガソリン価格を下げる」「社会保険料負担を抑える」といった政策を挙げ、「一つでも二つでも実現できるように、政策本位で、全力で取り組んでいきたいと思ってます」と答えるにとどめた。 別の民放番組では、近く開かれる国会での首相指名選挙で、石破茂・自民党総裁と野田佳彦・立憲民主党代表の両者とも過半数に届かず決選投票になった場合、石破氏でも野田氏でもなく「玉木雄一郎と書きます」と明言。「政策本位で、一致できるところはどの党とも協力してやっていきたい。新しい国会のルールをつくっていくべきだ。与党は全部賛成、野党は全部反対ではなく、国会で決めるという新たなルールを確立すべきだ」と持論を展開した。 民放のラジオ番組に出演した榛葉賀津也幹事長も「自民党につくのか、立憲につくのか、そういう選択肢は考えてません。今後、政策ごとにしっかり判断していくことになる」とだけ語った。

◆2022年度政府予算案に異例の賛成

自身の当選確実を受け、地元有権者とのオンライン懇談に臨む玉木雄一郎氏=10月27日夜、都内で(佐藤裕介撮影)

国民民主党は臨時国会最終日の10月9日、石破内閣の不信任決議案を立憲民主党や日本維新の会、共産党とともに衆院に共同提出した。 与野党対決型の議案ではこのように、立民などの野党と足並みをそろえることが多いものの、2022年度の当初予算案の採決では、岸田文雄首相(当時)がガソリン税の一時的な引き下げを検討すると言及したことを評価して、野党では異例ながら賛成するなど、時おり与党寄りの姿勢を見せることもある。改憲や原発再稼働を否定しないスタンスも、自民党から抵抗感を持たれにくい。 2022年12月には時事通信が「自民党が国民民主党を連立政権に加える案を検討中」と報じたこともある。

◆旧岸田派とゆかりのある玉木氏

代表の玉木氏自体が、自民党宏池会(旧岸田派)を率いた故・大平正芳元首相の遠戚で、もともと自民にはゆかりのある政治家だ。 2023年9月の国民民主党代表選では、玉木氏は自公政権との連携も排除しない姿勢を示し、「非自民・非共産」による政権交代を訴える前原誠司氏と対決した。敗れた前原氏は、同年11月に離党して新党「教育無償化を実現する会」を結成。今回の衆院選公示直前に日本維新の会に合流した。 

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