厳しい表情で集まった支援者らにあいさつする大空幸星氏=東京都江東区で2024年10月28日午前0時33分、玉城達郎撮影

 東京15区は、自民が議席奪還を期して擁立した新人の大空幸星氏(25)が接戦の末に敗れた。「政治とカネ」の問題を巡り、同区選出の自民議員が2人続けて逮捕されたことから、「Z世代の論客」として知られる公募候補の大空氏で批判をかわそうとしたが、自民への逆風に勝てなかった。

 28日未明に開票結果が確定して落選が決まると、江東区にある大空氏の事務所は重苦しい沈黙に包まれた。事務所に姿を見せた大空氏は「結果はしっかり受け止めたい。『明日も生きていきたい』という国造りをする思いは全く揺らいでいない」と語った。

 半年前の同区補選は、江東区長選に絡む公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途氏(自民を離党)の辞職に伴うもので、自民は候補者を立てられずに、不戦敗に終わっていた。

 大空氏は、オンラインで孤独を感じる人からの相談に応じるNPO法人の元理事長。テレビでコメンテーターを務めるなどメディアへの露出も多かった。

 選挙戦では「政治とカネの問題ばかりを議論している時間は日本にはない」と主張。裏金事件の争点化を避けて賃金アップなどの経済対策を訴えつつ、「私は(全国の候補者の中で)一番若い。この景色を自民党が変わろうとしている象徴だと思ってほしい」とした。

 だが、選挙戦の中盤以降は、裏金事件の批判が強まり、党幹部も相次ぎ応援に入ったものの、自民・公明支持層以外の浸透に広がりを欠いた。【白川徹、宮城裕也】

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