衆議院選挙のあとも注目が続いている国民民主党の「手取りを増やす」というスローガン。
現在「103万円の壁」の見直しが話題になっていますが、他の党からは、その先にある“「もう一つの壁」のほうが深刻だ”という声が上がっています。
「ソレってどうなの?」5日のテーマは、「103万円の先に130万円の壁」です。
まず「103万円の壁」の見直しを確認しておきましょう。
所得税が課税される年収の線引きを103万円から178万円に引き上げることで、手取りが増えるという案です。
10月30日に玉木代表を取材した時も、次のように意気込みを語ってくれていました。
青井キャスター:
実行できるものなんですか?
国民民主党・玉木代表:
やるしかない。これからの1カ月くらいが勝負だと思いますね。
一方、この103万円よりも“もっと重要な壁”があると訴えたのが立憲民主党の野田代表です。
立憲民主党・野田代表:
手取りへの影響という意味で、より深刻なのは社会保険の130万円の壁だと思います。
この「130万円の壁」について知っているか、街の人に聞くと…。
40代:
130万円だと税金の納める金額が変わるとか、あまり詳しくはわからない。
60代:
健康保険ですよね。主人の扶養家族なんですけど、それ以内でそれ以上働くと社会保険。
細かい条件はいろいろとありますが、例えばパートやアルバイトで働く主婦の場合、夫が勤めている会社が51人以上であれば年収106万円、50人以下なら130万円に壁が設定されていて、それを超えると社会保険料の支払いが必要になります。
社会保険料を払うと年収130万円未満の時よりも手取りが減る逆転現象が起きるケースも。
そのため、この壁を超えないようにしようとして働けなくなる人も少なくありません。
20代:
(学生時代)バイトで超えないように調整しながら働いていました。
40代:
(知り合いが)壁があるから働けなくなって、調整しないといけない。現場は忙しいのに帰らないといけない。ほかの人にしわ寄せがいくから申し訳ないと言っていた。
この「年収の壁」問題、専門家はどう考えているんでしょうか。
エコノミストの酒井才介さんに聞きました。
みずほリサーチ&テクノロジーズ チーフ日本経済エコノミスト・酒井才介氏:
103万円の壁というのは、実は制度上、必ずしも壁になっていない。手取りが減ってしまうという意味において、本当の壁は106万円、130万円の壁、社会保障制度の壁、この改革を合わせて検討しないと労働供給のプラス効果が得られるかというと、必ずしもそうではないだろうと考えています。
労働供給のプラス効果。
つまり働く人が増えるためには、「年収の壁」の改革が欠かせないとのことでした。
もっと働きたいという人が制度に阻まれないように、政治が結果を出せるかどうか注目していきましょう。
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