経済対策に関する協議の初会合に臨む(右から)自民党の小野寺政調会長と国民民主党の浜口政調会長(8日、国会内)

国民民主党は8日、自民、公明両党に2つの減税を要求した。所得税の納付が必要になる年収「103万円の壁」を引き上げたり、ガソリン減税を実行したりするよう主張した。2024年度補正予算案などの早期成立を目指す自公は効果や財源を見極める。

自民党の小野寺五典、国民民主の浜口誠両政調会長が8日、国会内で会談した。浜口氏は政府が11月中にまとめる経済対策と24年度補正予算案の要望書を渡した。これとは別に浜口氏は同日、公明党の岡本三成政調会長とも要望を巡り協議した。

要望は①能登半島地震・豪雨災害の復旧・復興②災害避難所となる公立学校の体育館へのエアコン設置③「103万円の壁」対策④ガソリン減税などエネルギー対策――を盛った。

自民党は11月中の閣議決定を見据えて経済対策について国民民主との合意に至りたい考えだ。税制に関しても経済対策に大まかな方針を盛り、その後に詳細を詰める流れを想定する。

小野寺氏は103万円の壁をはじめ税制に関わる政策について宮沢洋一税制調査会長も交えた会議を別に設けたいと提起した。来週にも初会合を開いて税制改正の議論を加速させる。

国民民主は所得税の非課税枠を103万円から178万円に引き上げると主張する。現状より働く時間を増やしやすくなり、収入から税金や社会保険料を差し引いた「手取り収入」が増えるとみる。財源は経済成長による税収増や予算の使い残しなどを見込む。

新しい税制が実現しても適用は26年になる可能性が高い。そのため国民民主は予算の活用などを念頭に24年分の納税から先行して対応するよう訴える。具体的なやり方は政府・与党で検討を進めるように求めた。103万円の壁は年末の繁忙期での働き控えを招くと分析する。

自民党幹部は大幅な税収減に懸念を示し「経済成長による税収増は恒久財源にならない」と話す。政府は非課税枠を75万円上げた場合、税収が7兆〜8兆円減ると試算している。

自民党内には所得税の非課税枠を引き上げても、社会保険料の支払い義務が発生する130万円の壁などが残れば政策効果は薄くなるとの見方が目立つ。

国民民主の玉木雄一郎代表は8日のラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEI切り抜きニュース」の収録で、103万円の壁の引き上げについて「ゼロ回答なら25年度予算案になかなか賛成するということにならない」と明言した。

国民民主党の玉木雄一郎代表(8日)

国民民主はガソリン減税も重視する。いまは1リットルあたり25.1円を上乗せしており、最終的に課税の廃止を求めている。

ガソリン高対策で補助金ではなく減税を提唱する。政府は12月に期限切れを迎えるガソリン補助金を延長する方針で、国民民主との調整が必要になる公算が大きい。

自民、公明両党は10月の衆院選で過半数の議席に届かなかった。経済対策の財源を裏付ける24年度補正予算案や、25年度予算案の成立には野党の協力が欠かせない。国民民主の主張を取り入れて賛成を促す。

石破茂首相(自民党総裁)は11日、玉木氏と会談して補正予算案などで協力を要請する。政府は年内に補正予算案を成立させる段取りを描いている。

来週には自民と公明、国民民主の3党で補正予算案を話し合う。国民民主はこれまで自民、公明と個別に対話してきた。

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