衆院選敗北の要因となった「政治とカネ」の議論が自民党内で始まりました。これまで手を付けられなかった「企業・団体献金」にメスを入れられるのか。担当記者が解説します。
■「政治とカネ」年内決着は?
石破総理 この記事の写真 石破総理大臣「野党に言われたからということではなくて、自民党が率先して、この問題についてきちんと答えを出したい」
総裁直属の機関として、自民党内に新設された政治改革本部の初会合。石破総理は年内に政治とカネの問題に決着をつける方針です。
ANN世論調査ANNが9日から10日に行った世論調査では、87%の人が政治とカネの問題には「けじめがついていない」と答えています。
石破総理「国民の意見というもの、多様な意見というものをできるだけ丁寧に反映をしながら、事の解決にあたっていきたい」 「政治とカネ」年内決着目指す
検討されているのは、政党から議員に支給される政策活動費については廃止。議員に月100万円支給される旧文通費については、使い道を公開し、残金は国庫に返納すること。さらに、政治資金を監査する第三者機関を早期に設置することです。
また、自民党は政治資金収支報告書に記載されていなかった、いわゆる「裏金」およそ7億円について党から国庫に寄付することや、能登半島地震の被災地支援に充てることで検討に入りました。
次のページは
■総理 年内決着に意欲も 一致点は■総理 年内決着に意欲も 一致点は
自民党政治改革本部 渡海本部長一方、野党側はもう一つ求めていることがあります。企業・団体献金を禁止することです。
自民党政治改革本部 渡海本部長「(Q.企業・団体献金について禁止・廃止すべきという意見はあった?)あまり明確に廃止すべきとか、禁止すべきとか、そういう意見は…」 自民党政治改革本部 小泉事務局長
「きょうはないですね」
「企業・団体献金が『悪』で個人献金が『善』というのは、これは全く違うと。そういった認識は我々としても一致していると思います」
12日の会合で議論を求めた石破総理自身も「企業にも政治活動の自由がある」として、企業・団体献金の正当性を訴えています。
石破総理「昭和45年(1970年)の最高裁の判決におきましても憲法上、企業が政党に対して政治資金を寄付する自由を有することが認められているわけであります」 立憲民主党 小川幹事長 立憲民主党 小川幹事長
「今、経団連が斡旋して名だたる日本中の大企業に1社あたり数千万円、合計すれば数億円、数十億となりかねない資金を自民党に投入しているというのは、これは日本の政治経済構造に極めて大きなゆがみであり矛盾ですから。そうしたものを前提に、石破さんがそういうことをおっしゃっているとすれば、甚だ見当違いだと見識が疑われると」 テレビ朝日 政治部与党担当 飯山雄矢記者 テレビ朝日 政治部与党担当 飯山雄矢記者
「大きな争点になっているのは、企業・団体献金の禁止。自民党はそもそも合憲だという考えが基本。12日の会議では石破総理が改正を含めた議論を呼び掛けたが、出席者から『積極的に廃止に向けて議論しよう』という声は上がらなかった」 「一方の野党側は、立憲民主党は『廃止を迫る』と意気込むが、国民民主党は『全党一致ならやる』という条件を付けていて慎重。野党で足並みがそろっているとはいえない状況。各党どういう支援を受けて政治活動を行っているか、政治背景も違うため一致点を見いだすのは難しく、自民党幹部は『国会議員で議論するのではなく、有識者で構成される第三者機関で議論する』という案も考えている」 「自民党としては、時間をかけて来年夏の参院選に近くなると、政治とカネの問題が再燃する懸念があるので、年内に決着をつけるのがベストだが、実際にどうなるのか、まだ見えない」
次のページは
■自民・公明・国民3党が経済対策協議■自民・公明・国民3党が経済対策協議
自民・公明・国民3党 経済対策協議一方、午後3時半から始まった自民党、公明党、国民民主党の3党による経済対策を巡る政策協議では、国民民主党が103万円の壁の見直しやガソリン減税、電気代・ガス代の引き下げのほか、新たに中小企業の賃上げ支援なども与党側に求めました。
国民民主党 浜口政調会長「(Q. 『壁』103万円から178万円への引き上げは?)きょうの段階では明確にはなかったですね。ただ、我々としては『こだわってますよ』と。『経済対策の中にも、しっかり我々の求めているものは、何らかの形で反映させてほしい』と改めて申し上げたという状況です」 この記事の写真を見る
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。