自民党の森山裕幹事長は年内にも中国を訪れる調整に入った。6年ぶりの開催を目指す日中与党交流協議会に参加し、政府間の日中外交を補完する。中国に太いパイプを持つ二階俊博元幹事長が政界を引退し、議員外交を再構築する狙いもある。
森山氏と公明党の西田実仁幹事長は19日、都内のホテルで会談して日中与党交流協議会を年内に再開する方針で一致した。中国側との調整を進める。
同席した自民党の坂本哲志国会対策委員長は15日にペルーで開いた石破茂首相と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の会談に触れ「結果をより実りあるものにするために私たちがしっかり乗り出していくことになった」と記者団に語った。
与党交流協議会は自公と中国共産党の定期対話の枠組みとして2006年に初会合を開いた。日中が交互に開催し、2国間関係の安定につなげる狙いがある。新型コロナウイルスの発生などで18年を最後に開いていない。
自民党幹部は臨時国会の閉幕を見込む12月下旬から25年1月の通常国会召集までの期間を逃せば、当面は協議会を開くのは難しいとの見通しを語る。
首相は習氏との会談で、首脳を含むハイレベルの対話と往来を推進する方針を確認した。自民党内で「政党間でも日中対話を増やし首脳外交を後押しできる」との見方が出ている。
日中友好議員連盟に属す森山氏は24年に中国をすでに2回訪れており議員外交を主導する。
7月に中国共産党の外交を担う中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長と会い、日本産牛肉の輸入再開を要請した。8月にも二階氏とともに訪中し、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の趙楽際(ジャオ・ルォージー)常務委員長との会談に同席した。
中国は共産党が外交や安全保障政策で決定権を持つ。党同士の対話が、緊張を緩和したり懸案の解決に寄与したりする可能性がある。日中は台湾問題やハイテク分野で対立が続き、中国による日本産水産物の輸入再開を巡る合意の履行も課題だ。
二階氏は10月の衆院選に出馬せず政界を引退しており、後継役づくりが課題になる。同氏は19年に当時の安倍晋三首相の特使として訪中した。過去に習氏とも複数回会っており、日中間に問題が生じたときに中国側も頼りにすることが多いとされた。
党内では森山氏以外にも小渕優子組織運動本部長らに期待する声があがる。小渕氏も日中友好議連で活動している。
自民党幹部は「中国は石破茂政権がどれほど長続きするのかを見極めたうえで日中協力の度合いを変えてくる」と分析する。自民党は衆院選で過半数の議席を維持できず、首相の政権運営は綱渡りの状況が続く。
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