11月24日に投開票が行われる鹿児島市長選挙。

みなさんそれぞれに気になる争点があると思いますが、中でも、混迷を極めるサッカースタジアムの整備について詳しくお伝えします。

候補地が白紙となった今、どのような進め方が求められているのか。
候補者の訴えと共に、専門家や街の声を聞きました。

始まりは、2017年。

サッカー等スタジアム整備検討協議会が設置され、8回にわたって検討が重ねられました。

2年後の2019年には、中心市街地ににぎわいを生む場所として、いずれも鹿児島港本港区の浜町バス車庫、ドルフィンポート跡地、住吉町15番街区の3カ所を候補地に絞り込みます。

しかし、2023年、地権者からの取り下げや、県の新たな総合体育館の整備計画との調整、そして、運営収支の赤字見込みを理由に3カ所全て断念。

新たに浮上したのが、かごしま水族館のある北ふ頭です。

高架橋を設置して、物流と人流を分けるという配置図案も示されたものの、港湾関係者の理解には至らず、わずか半年で再び白紙に。

これまで調査費用などに4000万円の予算をつぎ込んできましたが、候補地はいまだ定まっていません。
そんな中、現在、候補地として取りざたされているのは、鹿児島市与次郎のサンロイヤルホテルが移転した場合の跡地です。

当初の検討条件だった「まちなかスタジアム」になりうるのかー
議論を呼んでいます。

このように進展が見えないスタジアム整備について街の声は。

60代 医療関係
「できてほしい。観光の目玉にもなるし。長引くと色んな意見が出てくると思うので、早く作って早く解決した方がいい」

30代 会社員
「ちゃんと検討して、応援するんだったら早く作るべき。かわいそう。いろんな方が」

20代 専業主婦
「それよりは子供たちが遊べる施設の方がいいのかな」

市長選に立候補した2人はスタジアムの整備を進めるという点では同じですが、それを「どこが担うか」で意見が分かれています。

新人の桂田美智子さんは、莫大な財政負担を負わない民間企業主導への方針転換を主張します。

無所属・新 桂田美智子候補
「民間が主導して、市が後方支援をする。場所選定も含めて、そんな進め方が必要」

現職の下鶴隆央さんはこれまでと同様、オール鹿児島で取り組みたいとしています。

無所属・現 下鶴隆央候補
「県、市、民間のオール鹿児島で、しっかりと協力して取り組んでいくことができる、そんな候補地の選定に力を合わせながら取り組んでいきたい」

行政法の専門家はそれぞれの主張の難点を指摘します。

鹿児島大学(行政法)・宇那木正寛教授
「(桂田さんの主張について)引き受けてくれる民間企業があるのか、そこが非常に疑わしい。引き受け手がないと自治体は考えているし、実際そうなんじゃないか。」
「(下鶴さんの主張について)自治体が主導になるということであれば、その費用を公費から出さないよう、なるべく減らす努力が必要。市が負担する部分については国の補助金を使うとか、建設プロセスを明瞭にする、特にお金の部分は必要」

その上でどちらの場合でも、私たち有権者に“具体性”を示すことが必要としています。

鹿児島大学(行政法)・宇那木正寛教授
「じゃあ具体的にどうやってそれを実現するのか、具体性を持った目的達成の手段をしっかり説明することが、いまの行政では求められている。政策を語るということは、目的と共にそれを達成するための具体的手段を財源も含めて示すということ」

鹿児島市政の長年の課題、スタジアム整備の行く末はー。

4日後に迫る鹿児島市長選挙で、有権者の判断が注目されます。

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