裏金事件を受けた政治資金規正法の改正をめぐり、自民党と公明党がまとめた与党案の概要について、12日のフジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)で与野党が論戦を交わした。
与党案の概要では、政党が議員個人に支給する政策活動費について、支給を受けた議員からの報告に基づいて党が金額などを収支報告書に記載することで透明性の向上を図ることが盛り込まれた。これに関し、自民党の片山さつき政調会長代理は政治活動の自由は民主主義の根幹だとした上で、外交交渉や各選挙区の事情などによって活動費の使途の詳細すべてを必ずしも明らかにできないことに理解を求めた。
これに対して、立憲民主党の山岸一生政調会長筆頭補佐と国民民主党の玉木雄一郞代表は、非課税の政治資金はすべて使途を明らかにすべきで、明らかにできないものは課税対象とするべきだとして、与党の姿勢を厳しく批判した。
番組では、玉木氏が「野党第一党の立憲民主党は旧文通費(調査研究広報滞在費)の使途を公開していない」と指摘。これに対し山岸氏が「(与野党で)共通のルールをつくって、みんなで公表していくことが必要だ」と反論する場面もあった。
また、番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、領収書の公開が義務づけられていない政策活動費、旧文通費、立法事務費を『領収書不要3兄弟』と称し、野党側が政策活動費と旧文通費では自民党を追及しているのに、立法事務費についてはだんまりを決め込んでいるとして姿勢を疑問視。野党自ら領収書の公開に踏み切り、立法事務費でも自民党を追及するよう求めた。
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
まず一つの焦点になっている政策活動費の使途の公開のあり方について、与党案の概要をどう受け止めたか。
山岸一生氏(立憲民主党政調会長筆頭補佐):
全く不十分だと言わざるを得ない。いま巨大な一つのブラックボックスになっているのが問題なのだが、これを単に4個か5個のブラックボックスに小分けするというだけの話だ。まったく公開になってないし、国民の求めているものになっていない。われわれはそもそも廃止すべきだと言っている。仮に残すとしても、国民から託されている、非課税の特権を受ける政治資金である以上、基本的には全て明らかにすることを大原則にしていく。これが出発点だ。
片山さつき氏(自民党政調会長代理):
まず一つの大きな誤解がある。自民党の政策活動費は自前で集めてきた金だ。いわゆる政党交付金という税金はその中に入れてない。
幹事長が一番大きな支出を受けるので、幹事長がそれ(使途の報告)を書くことになるのが一番多いのだろう。いつ、どこで誰とそういう会議をやった、相手(の氏名)も出せ、となると、幹事長は党のナンバーツーだから、外交的にそういうことがわかっていいのかということもある。選挙区によって強弱もあるため、当然(支出額も)違ってくるが、そういうものが全部(表に)出ていいのか。
玉木雄一郞氏(国民民主党代表):
この期に及んでこんな(与党)案しか出せない、そしてそれを自民党は了承した。まず、その危機感(のなさ)がわからない。今回の本質は「非公開かつ非課税という金をなくそう」ということだ。もし非課税の恩恵を受けたいのであれば、それが政治活動に使われたという証明をきちんとしなければいけない。証明できないのであれば、つまり公開しないのならきちんと課税対象にしようということだ。税であろうが寄付であろうが一緒だ。ここをきちんとやろうというのが今回の本丸。政策活動費に加えて、文書交通費(旧文通費)もそうだ。非課税かつ非公開という国会議員にしか認められない恩恵をなくしてオープンにしようということだ。それなのにまだこんなところで行ったり来たりしてること自体、国民から見たら「自民党何やってんだ」ということだ。私は先週、公明党の山口那津男代表に「こんな案だったら乗らない方がいいですよ」と言った。「(自民党との間で)変な与党案を、法案をまとめるのではなく、平場でやりましょう。われわれ野党も入れてやらないと本当に(自民党と)同じ穴のむじなとみられますよ」と直接伝えた。政治全体に対する不信感をどう払拭(ふっしょく)していくかという党派を超えた課題だ。こんなことであっち行ったりこっち行ったりするのはもうやめませんか。
橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事):
玉木さんと山岸さんが言っていることは核心だ。これからの時代、非課税は非課税でいい。政治家が使う金、一定非課税でもいい。非課税という超特権を得るのだったら全部公開にせよ。公開ができないのだったら、国民と同じように課税せよ。もうそれだけ。
玉木氏:
もちろん一定の非公開性があることは政治にとって必要だ。ただ、いまそれ以上に回復しなければいけない価値は政治に対する信頼だ。そこは各党を超えてやりませんか。その意味で言うと、旧文通費も公開すればいいと言っているが、野党第一党の立憲民主党が公開していない。国民民主と維新は法律が通る前からやると言った以上、去年から2カ年連続ですでにホームページに全部領収書を載せている。立憲民主党もそれをやるべきだ。そうすれば、主張にもっと説得性が出てくる。
山岸氏:
玉木さんから立憲民主党の旧文通費の公開の話があった。これは(与野党で)共通のルールをつくって、みんなで公表していくということが必要だ。いまは何に使っていいかというルールがない。そういう中で公表しているのだが、例えば、しばらく前に維新の会の人が大半を自分の政治団体に入れて自由に使っていたと言って、かえって批判を浴びたことがあった。ルールがないからそうなってしまう。使い道に関する共通のルールを決めて、そろって公表していくことが筋道ではないか。
橋下氏:
玉木さんと山岸さんに言いたいことがある。自民党の改革案は本当に生ぬるく、国民をなめていると思うが、野党にも『領収書非公開3兄弟』のことで言いたい。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
領収書(の公開)が必要ないものは政策活動費だけではない。旧文通費は1人あたり月100万円、そして立法事務費。これは議員1人あたり月65万円。これも領収書(の公開)は必要ない。橋下さんいわく『領収書不要3兄弟』と。
橋下氏:
そう。この“3兄弟”は非課税でも領収書は要らない。政策活動費や旧文通費はメディアでも騒がれて、いま野党はみな自民党を追及しているが、実は立法事務費も非課税で領収書が不要で、国会議員1人あたり月65万円とものすごく巨額だ。山岸さんも玉木さんも維新もガンガン自民党を追及しているのに、話題にならないヤツ(立法事務費)はじーっと黙っているという、この姿勢が国民に伝わっている。
僕は、野党の改革案は自民党のよりも優れているとは思う。山岸さんや玉木さんのように追及力のある人には、自分の党に対しても、この『領収書不要3兄弟』についてガンガン追及してもらいたい。
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