地震受けブロック塀撤去補助制度も

2018年6月18日に大阪府北部で震度6弱の揺れを観測した地震では、高槻市で小学生の女の子が倒壊したブロック塀の下敷きになって亡くなりました。

地震のあと、住宅などの危険なブロック塀の撤去を進めようと、撤去費用を補助する制度が全国各地の自治体で導入されました。

大阪府内 補助制度継続の市町村 半数以下に

大阪府内でも43の市町村すべてで補助制度が設けられましたが、府によりますと今年度も制度を継続しているのは半数以下の19の市と町となっています。

継続しているのは、大阪市、堺市、池田市、箕面市、豊中市、茨木市、高槻市、摂津市、枚方市、寝屋川市、交野市、八尾市、柏原市、松原市、高石市、泉佐野市、島本町、忠岡町、岬町です。

【制度を終了した理由は】
制度を終了したこのほかの24の市町村に、NHKがその理由を取材したところ
▽集中的に推し進めるため期限を区切ったとか
▽補助の申請が減少していたといった声のほか
▽大阪府からの補助が令和3年度で終了し予算の確保が難しくなった
という声もあがっていました。

国土交通省によりますと、ブロック塀の安全対策のため塀の撤去や検査などの安全対策にかかる費用を補助する制度を設けている市町村は、令和2年度には全国1741の市町村のうち915ありましたが、昨年度は865と減少しています。

専門家「補助制度の継続 終了した自治体では見直しを」

ブロック塀の対策に詳しい東北工業大学の最知正芳 名誉教授は、個人所有のブロック塀は無数にあり、倒壊による被害は後を絶たず、短い期間で解決する問題ではないと指摘しています。

そのうえで「長く向き合っていかなければならない社会問題で、所有者は費用の面から踏み出せないケースもあるため、行政が導いていくことが重要だ。補助制度は継続すべきで、終了している自治体ももう一度見直してもらいたい」と話していました。

大阪 高槻 撤去後の「生け垣」費用も補助対象に

制度を継続している大阪 高槻市では、危険なブロック塀の撤去をさらに後押ししようと塀を撤去したあとに「生け垣」をつくる費用も令和3年度から補助の対象としています。

高槻市に住む仲谷光宏さん(67)は、この制度を活用して去年、老朽化していた自宅のブロック塀を撤去し生け垣を設置しました。

ブロック塀の撤去は費用のおよそ70%、生け垣の設置はおよそ25%を市の補助でまかなえたということです。

仲谷さんは「小学生が亡くなったことを受けて安全対策を進めなければと感じていました。生け垣は春にはきれいな花を咲かすので道を行く人にも評判です」と話していました。

一方で高槻市によりますと、生け垣の補助制度の利用は昨年度までに仲谷さんを含めて2件にとどまっているということで、市は引き続き制度の利用を呼びかけていくとしています。

ブロック塀の自主点検も呼びかけ

また、高槻市は比較的簡単に取り組める安全対策としてブロック塀の自主点検も呼びかけています。

市が作成したチラシでは、塀の高さや厚み、それにひび割れがないかなど見た目でわかるチェック項目が記載されています。

また、専門家によりますと、ブロック塀を低くすることも有効な対策で、塀が倒壊したとしても深刻な被害が起きにくくなるということです。

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