6月21日、近畿と東海、関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると気象庁が発表しました。関東甲信は1967年と2007年の6月22日ごろに次ぐ過去2番目に遅い梅雨入り、近畿も1967年以来史上3番目の遅さとなる梅雨入りで、さっそく23日から大雨に十分注意が必要です。(気象予報士・広瀬駿)
“沖縄の梅雨明けより遅い”近畿の梅雨入りは珍しい
平年より遅れていた近畿地方の梅雨入りが、ようやく発表されました。平年より15日遅く、去年(2023年)より23日遅い発表です(速報値)。前日の20日には沖縄地方の梅雨明けが発表されましたが、近畿の梅雨入りが沖縄の梅雨明けより遅くなったことは過去1度しかなく、これも1967年以来のこととなります。沖縄が梅雨明けしたことで梅雨前線が北上するため、大雨の舞台はこれから本州付近になることを意味します。
梅雨は実質的にはもう始まっていた?
梅雨入りの発表は遅れたものの、これまでに雨が降っていなかったわけではありません。これまで30日間(5/22~6/20)に降った雨量は、大阪では1.5倍(222mm)、神戸で約2.0倍(265mm)、東京で1.5倍(246mm)など、西日本と東日本の太平洋側で平年より多くなっています(山陰や北日本では少ない)。一方で、日照時間も平年より多い地点が多くなっていて、6月は京都など晴れて猛暑日となる地点もありました。例年の梅雨の天気から“曇りの日を抜いた”イメージで、6月は“晴れて厳しい暑さとなる日”と“大雨の日”を繰り返しています。梅雨入りをどのタイミングで発表すべきか、気象庁の予報官も頭を悩ませていたのかもしれません。5月30日に配信した記事で、異常気象などに詳しい三重大学大学院の立花義裕教授が指摘していたように、今年は降るときは大雨で、晴れると猛暑となる「極端な梅雨」の性格がすでに表面化している状況です。
気になる日本周辺の海水温の高さ 雨雲がより発達しやすい状況
近畿などが梅雨入りした6月21日は鹿児島県で非常に激しい雨が降り、明け方には線状降水帯が発生しました。今年は“しとしと”降る梅雨前半をすっ飛ばして、梅雨入りしていきなり“本気モード”の大雨に警戒が必要になります。気になる点は、日本周辺の海水温の高さです。去年(2023年)の猛暑や暖冬の影響で海水温が記録的に高い海域があり、日本海では平年より3度も高くなっています(6月20日現在)。前週からの季節はずれの暑さの影響も加わり、海水温が高まっていると考えられます。海水温が高いと海からの水蒸気の供給量が増加し、より雨雲が発達しやすくなります。
来週末は“もはや梅雨明け”のような状況に!?
6月22日は梅雨前線の影響で、西日本では次第に雨が降るでしょう。23日から24日にかけては、九州から北陸にかけての広範囲で警報級の大雨となるおそれがあります。来週は真夏の主役となる太平洋高気圧が強まり、梅雨前線が北上するため、雨が強まりやすいのは日本海側が中心となりそうです。いつもより日本海の海水温が高い分、ふだん雨の少ない地域でも大雨による土砂災害などに十分注意が必要です。太平洋側でも雨の降る日はありますが、来週末以降は高気圧に覆われて晴れて猛暑となる可能性があります。梅雨入りが発表されたのに、すぐに梅雨明けしたような天気になるかもしれません。過去とは性格が異なる梅雨だと思って、いつも以上に最新の気象情報に注意しながら雨の季節を過ごすようにお願いします。
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