秋田県 佐竹知事が被災地視察 農林水産業の被害は21億円超え

今回の記録的な大雨による秋田県内の農林水産業の被害額は21億円余りに上るとみられることが報告されました。

農林水産業分野での被害調査は半分ほどしか終わっておらず、被害額はさらに増えることが見込まれるとしています。

30日開かれた秋田県の災害対策本部の会議で、今回の記録的な大雨の影響で2000ヘクタールを超える水田や畑が水につかったほか、あぜ道や水路が壊れたり、林道が崩落したりといった被害が確認され、農林水産業全体での被害額は21億6000万円余りに上るとみられることが報告されました。

農林水産業分野での被害の調査は半分ほどしか終わっておらず、被害額もさらに増えることが見込まれるとしています。

報告を受けて佐竹知事は「来年以降の作付けなど農業の継続が困難なところもある。農家に寄り添った形で対応してほしい」と述べ、被害の全容把握を急ぐよう指示しました。

記録的な大雨で80棟近い住宅が被害を受けた秋田県由利本荘市では、30日から災害ボランティアによる住宅の片づけが始まりました。

大雨で80棟近い住宅が被害を受けた由利本荘市では、30日は20人以上のボランティアが被害の大きかった地域で浸水の被害を受けた住宅の片づけを行いました。

このうち、近くを流れる川が氾濫した由利本荘市久保田の集落では、ボランティアが床上まで水に浸かった住宅の家財道具を運び出したり、住宅の敷地や道路にたまった泥を集めたりする作業を手伝っていました。

自宅周辺の泥のかき出しをボランティアに手伝ってもらった60代の男性は、「1人での作業は大変なのでとても助かります」と話していました。

ボランティアセンターの佐々木一之事務局長
「多くの人からボランティアの登録をいただきありがたい。今後、住民のニーズも変わってくると思うが、迅速に対応していきたい」

センターは、当面、市内の個人と県内の団体を対象にボランティアを募集していて、市の社会福祉協議会のホームページからの事前登録を呼びかけています。また、ボランティアの手伝いが必要な人の依頼や相談は電話番号0184ー23ー5519で受け付けています。

NHKが警察や自治体などを取材したところ、県内では今回の大雨の影響で1人が亡くなり、1人が行方不明となっています。

このうち秋田市では、雨が降り始めたあと出かけたまま行方不明になっていた86歳の男性が、26日に雄物川で遺体で見つかりました。

警察は、増水した川に転落した可能性があると見ています。

また、湯沢市では、25日に工事現場で土砂崩れが発生し、作業していた60代の男性が巻き込まれて、行方がわからなくなっています。

このほか、にかほ市では、24日に川の近くの斜面が崩れ、消防団員の男性が軽いけがをしました。

今回の大雨で、県内では9つの河川で氾濫が発生しました。

このうち、由利本荘市を流れる子吉川と支流の石沢川では、それぞれ数十メートルにわたって堤防が決壊しました。

さらに、▽由利本荘市を流れる西目川、▽大仙市を流れる上総川と小友川、▽三種町を流れる三種川、▽五城目町を流れる内川川、▽上小阿仁村を流れる五反沢川と仏社川でも氾濫が発生しました。

続いて、住宅の情報です。

県によりますと、▽北秋田市で1棟が半壊し、▽北秋田市と由利本荘市でそれぞれ1棟が一部壊れたほか、県内各地であわせて249棟が水につかりました。

このうち、▽床上浸水は、由利本荘市で25棟、にかほ市で9棟、上小阿仁村で7棟、横手市で3棟、三種町で1棟のあわせて45棟です。

また、▽床下浸水は、由利本荘市で50棟、横手市で37棟、上小阿仁村で36棟、大仙市で22棟、羽後町で17棟、湯沢市で12棟、にかほ市で10棟、北秋田市で9棟、三種町で7棟、美郷町で3棟、東成瀬村で1棟のあわせて204棟となっています。

横手市、由利本荘市、北秋田市では、それぞれ高齢者施設1棟が水につかりました。

農林水産業の被害です。

県によりますと、これまでに水田や大豆畑などあわせて2016ヘクタールの農地が水につかったほか、あぜ道や水路が壊れるなどの被害が140か所で確認されています。

こうした農林水産業全体の被害額は21億6000万円余りとみられるということです。