専門家でつくる検討会は7日、定例の会合を開き、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。
巨大地震の想定震源域にあたる地域では先月30日に日向灘でマグニチュード5.1の地震が発生し、宮崎県で震度4の揺れを観測しました。
検討会は地震の規模が比較的小さく、フィリピン海プレートの内部で発生したことからプレート境界への影響は小さいとしています。
また、プレート境界付近を震源とする「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が四国東部から中部で先月2日から9日に観測されました。
また、ほぼ同じ時期に周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測されました。
いずれも想定震源域のプレート境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられます。
このほか▽四国中部で2019年の春ごろから、▽静岡県西部から愛知県東部で2022年のはじめからいずれも地殻変動が継続的に観測されていて、それぞれ▽四国中部周辺と▽渥美半島周辺のプレート境界の深い場所が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的スロースリップ」が原因とみられるとしています。
これらの現象は繰り返し観測されていることから、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられるような特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。
検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「フィリピン海プレートが沈み込んでいるデータは得られていて、いつ巨大地震が起きても不思議でない状態に変わりはない。引き続き地震への備えを続けてほしい」と呼びかけています。
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