石川県では、9月21日から22日にかけて大雨の特別警報が出され、記録的な大雨となり、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎました。
警察や消防などによりますと、輪島市で9人、珠洲市で2人のあわせて11人の死亡が確認され、県によりますと、珠洲市と能登町であわせて2人が災害に巻き込まれたおそれがあり行方が分からなくなっています。
また、輪島市の4人とは今も連絡が取れず安否がわかっていません。
消防や警察などは28日も範囲を広げるなどして捜索を進めることにしています。
“二重被災”で店を閉める決断をした人も
一方、被災地ではことし1月の能登半島地震で被災し、生活再建を目指していた中で、今回、大雨で深刻な被害を受け、“二重被災”とも言われる厳しい状況に直面している人たちが少なくありません。
中には、地震のあと住んでいた仮設住宅で今回被災し、さらに別の場所に移らざるをえなくなった人や、ようやく営業を再開した飲食店が大雨で被害を受け、店を閉める決断をした夫婦もいます。
県も国に対し「地震の傷痕が癒えない中で大水害が追い打ちをかけるように発生した極めて異例な複合災害だ」などと現状を訴えていて、今後、どう手厚く支援していけるかが課題となっています。
“二重被災”で閉業決めた輪島市の定食屋
輪島市中段町にある36年続く定食屋「美乃幸」は、今回の記録的な大雨で床から1メートル20センチ余りの高さまで浸水し、調理器具や食器も泥水につかりました。
店主の今井幹夫さん(73)と妻の今井文子さん(61)は水を避けるため、いすの上に避難しましたが、およそ2時間身動きが取れませんでした。
9月24日にボランティアが床の泥をかき出しましたが、いまも汚れが残っていて、夫妻は27日も片づけに追われていました。
今井さん夫妻は元日の能登半島地震で市内の自宅が大規模半壊と判定されましたが店は大きな被害を受けず、6月に営業を再開したばかりでした。自宅に続いて店舗も大きな被害を受けたことから店を畳むことを決めました。
幹夫さんは「店があることが当たり前で、日課でした。体の限界もあって、もうそろそろだと思っていましたが、この雨でふんぎりがつきました。地震で家を失って、店を改装して住むつもりでしたが、それもかないません」と話していました。
文子さんは「地震のあと店を閉める話も出ていたのですが、お客さんのために頑張ろうと再開しました。今回の雨で閉業するのは本当に申し訳ないですが、今まで来てくれた人には感謝の気持ちを伝えたいです」と話していました。
《被害状況》
能登地方で11人死亡 2人行方不明 4人安否不明(27日16時時点)
警察や消防などによりますと、石川県能登地方では、これまでに輪島市で9人、珠洲市で2人のあわせて11人の死亡が確認されました。
またこれまでに珠洲市と能登町であわせて12人のけが人が確認されていますが、輪島市などについては調査中で詳しい状況がわかっていません。
石川県によりますと、27日午後4時の時点で、珠洲市と能登町であわせて2人が災害に巻き込まれたおそれがあり行方が分からなくなっているということです。
このほか県は、27日午後2時の時点で、連絡が取れず、安否が分からない輪島市の4人の氏名などを公表して情報提供を呼びかけています。
計456人が避難生活(27日16時時点)
生活への影響も続いています。石川県によりますと27日午後4時の時点で、輪島市と珠洲市、それに能登町の3つの市と町の27か所に避難所が開設され、あわせて456人が避難しています。
避難者の人数の内訳は
▽輪島市が386人
▽珠洲市が63人
▽能登町が7人となっています。
停電 約890戸(27日17時時点)
北陸電力送配電によりますと27日午後5時の時点で、石川県能登地方では大雨による土砂崩れで電線が切れるなどして、あわせておよそ890戸で停電が続いています。
地域別では
▽輪島市でおよそ520戸
▽珠洲市でおよそ370戸
▽能登町で10戸未満となっています。
北陸電力送配電によりますと浸水や土砂崩れで立ち入るのが難しい地域もあり、すべての地域での復旧のめどは立っていないということです。
断水4200戸余(27日16時時点)
断水も続いています。石川県によりますと、停電によるポンプ施設の停止や水道管の破損で断水が相次ぎ、27日午後4時の時点で
▽輪島市で2822戸
▽珠洲市で1253戸
▽能登町で178戸の、
あわせて4253戸で水道が使えなくなっています。
このため、3つの市と町では21台の給水車が活動しています。
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