台風18号「大型で猛烈」→「非常に強い」に

10月1日朝9時の予報円

台風の勢力は、一般に海水温で決まります。27℃以上だと、その勢力を発達・維持します。18号が、台湾の南の海上に達した1日(火)までは、台風は高い海水温で急発達。

10月1日夜9時の天気図

中心気圧915ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は75メートル、強風域の直径は中心から1000キロで、「大型で猛烈な台風」、大変危険な台風となっていました。

10月2日朝9時の予報円

ところが、2日(水)朝9時、台湾に200キロ以内に近づいた台風18号は、海水温は高いままなのに、中心気圧は915から935ヘクトパスカルに、強風域の直径は、1000キロから300キロになり衰え始めています。現在、「大型」とれ、「猛烈」が「非常に強い」に変わっています。

台湾に接近、上陸すると台風は急速に衰える

その後も、台風18号の予報円を見ると、台湾に上陸した3日(木)朝9時には965ヘクトパスカルに弱まり、「非常に強い」から「強い台風」に。

台湾縦断中の4日(金)朝9時には996ヘクトパスカルで、「強い」がとれて、タダの「台風」に。

さらに、5日(土)朝9時には、1004ヘクトパスカルの熱帯低気圧にまで衰えてしまうのです。

台風の勢力を決めるもう一つの要素は陸地

これだけ急速に台風が衰えるのは、陸地の影響です。陸に近づき過ぎると、台風は回転することを邪魔されます。

さらに上陸すると、陸地との摩擦がさらに大きくなるのに加え、高温の海水からエネルギーを得ることができなくなり、まさに「陸に上がったカッパ状態」となり衰えるのです。

高山が多い台湾 台風の勢力を阻む

台湾の縦断面図

特に、台湾は、3~4000メートルの高山もあるほど標高が高い場所が多く、台湾に上陸する、あるいは接近する場合、台風の回転との摩擦がとても大きくなりが急速に衰えることが多いのです。

私たち気象予報士は、台風について「台湾への上陸、接近」を常に気にして、台風情報を発表しています。

心配される台湾の被害

台湾上陸、縦断によって、熱帯低気圧におそろえてしまう見込みの台風18号ですが、台湾での被害が心配です。もともと、台風の「台」は、台湾の「台」と言われるほど、台風の影響を受けやすい地域ではありますが、かなり強い勢力でのでの台風上陸です。被害が少ないことを祈るばかりです。

RKB気象予報士 龍山康朗

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