映画「コード・ブルー」「テルマエ・ロマエ」など、千葉県内には数々の作品が撮影されたロケ地がある。どうやって誘致しているのだろうか。県フィルムコミッション(FC)マネジャーの立花玲二さん(39)に聞いた。【近森歌音】
――フィルムコミッションって、何ですか。
◆映画やテレビなどで屋外で撮影をしたいという製作会社などに向けて、ロケに適した場所を紹介したり、手続きを案内したりする事業です。県FCは県観光政策課の事業を公益財団法人「ちば国際コンベンションビューロー」が受託して運営しています。
――具体的には何を?
◆業務は大きく三つ。一つ目は製作会社から依頼を受け、県内で撮影してもらうことで、地域の魅力を発信し「公益」に変えること。二つ目は市町村が旗揚げをするFCのサポート。三つ目は県内での撮影実績の調査です。
――県内はロケ地として人気なんですか。
◆明確な数字はないのですが、撮影は多いと思います。東京に集中している製作会社が日帰りで行けるアクセスの良さ、「地の利」があります。幕張のようにビル群があって「都会の絵」が撮れる一方、海山や田畑など田舎の景色も広がっています。この景観のグラデーションは全国一だという自負があります。
――いまは、どんなことに力を入れていますか。
◆千葉でなければ撮れない作品を生み出すことを目指しています。昨年から、歴史や言い伝えなど、眠っている映像ネタのリストアップをしています。そういったネタを集めて売り込んでいこうと思っています。
――どんなネタがありますか。
◆例えば、佐倉市にある臼井城址(じょうし)公園は1566年、上杉謙信が敗北した数少ない戦い「臼井城の戦い」があった場所です。悔しかったからか自伝には一切記載がなく、謎に包まれた戦いとされています。これをPR材料として撮影してもらうきっかけづくりをしたいですね。
――県内でロケ誘致に熱心な市町村はどこですか。
◆2022年度の撮影実績では、木更津市226件▽銚子市216件▽市原市129件――の順に多かったですね。他にも、茂原市ではボランティア団体「もばロケ☆ネギらい隊」が撮影現場に差し入れをしたり、撮影のサポートをしたりしています。旭市にも「旭おっぺし隊」という撮影支援を行う団体があります。どちらも製作会社に好評で、次の撮影にもつながったと聞いています。
――「ぜひ行ってほしい」というお勧めスポットはありますか。
◆JR京葉線・千葉みなと駅(千葉市中央区)近くにある「さんばしひろば」です。映画「TANG」「KAPPEI」やドラマ「星降る夜に」などで使用されました。海風を感じながらの散歩はもちろん、海沿いの店での食事もお勧めです。桟橋から出ている観光船での工場夜景クルーズ(予約制)も楽しめますよ。
たちばな・れいじ
静岡市出身。2008年、東京都内のテレビCM製作会社に入社し、約14年間、映像製作に関わった。23年4月から県フィルムコミッションに勤務し、業務全般の管理や企画提案を行っている。
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