全国的に減少する書店の賑わいを取り戻そうと国も本腰を入れ始めています。
先月、庄原市にオープンした一見普通の「町の本屋」が視察先に選ばれた理由をツイセキします。

庄原市に先月オープンしたばかりの書店「ほなび」。
25日朝、中国経済産業局のプロジェクトチームが視察にやってきました。

【五十川記者】
「コンビニエンスストアの跡地に新しくオープンした書店『ほなび』なんですが、文字通り、本、本、本です。ほぼ本だけで売り場を展開しているということで、全国の出版関係者から注目を集めているんです」

「ほなび」をオープンさせた佐藤友則さん。
「本が売れない」と言われる時代にあえて、本の温もりを届けようと奮闘しています。

【「ほなび」を運営・佐藤友則社長】
「こうした本屋さんが閉店していっている時代に新刊書店を出したということが注目の第一歩なんだろう。(客の声で)集約していく本の並びの中から地域のニーズ、本当に地域が求めることが見えてくるはずなんですね」

庄原市中心部は去年相次いで2つの書店が閉店。
古本屋だけの「空白地帯」をどうにかできないかと、隣町で書店を営んでいた佐藤さんがもう1店舗、進出させました。
1人1人に耳を傾ける接客で、人口およそ3万人の中山間地域に当初の予想を上回る人がやってきています。

【「ほなび」を運営・佐藤友則社長】
「8割はいたって普通の物を置いて、あと1割ないし2割くらいでお客様の琴線にふれるような仕掛けと言うか、一歩立ち止まってもらうもののバランスは大体1割から2割」

書籍のデジタル化やネット販売の台頭など、出版業界を取り巻く環境が大きく変わる中、全国の書店はこの20年間でほぼ半減。
そこで、経済産業省は今年3月に「書店振興プロジェクトチーム」を設置。
先月、出先機関の中国経済産業局にも本好きの職員たちによる部署横断チームができました。

【中国経済産業局・實國慎一局長】
「主体はやはり人です。そういった意味では書店のキーパーソンとか書店応援者こういったもののネットワークをつくる必要があるのではないか」

先週の会見でこう話した中国経済産業局のトップも、初の視察を終え、店と地域の結びつきをどう高められるかに今後の可能性を感じた様子でした。

【中国経済産業局・實國慎一局長】
「キーワードは未来と子供あと地域の人たち。そこを残すために我々も色々取り組んでいかないといけないなと思いました」

【「ほなび」を運営・佐藤友則社長】
「お客様に教えてもらうことで本屋さんが変わっていく。書店員が成長していく。それが本屋さんが成長していくということだと思うので」

書店の価値の「見える化」や実際に足を運ぶ人を増やすことなどを目標に掲げるプロジェクトチーム。
書店のにぎわい作りに向け、今後も現場の声を聞き取ることにしています。

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